これからの5Sを提案する「5S活動チーム」

これからの5Sを提案する「5S活動チーム」

5Sの本質を知って職場環境の変化に応じた5S活動を展開!

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現場力を高める5S活動

5S活動は、製造業を中心に実施されてきました。さらに、医療関係でも5S活動が盛んに実施されています。最近はサービス業でも5S活動に取り組む会社が増えてきています。サービス業の中では小売業や宿泊業界でも積極的に実施されています。しかし、5S活動は当たり前のこと、良いことであることは分かっているが利益につながらないとして長続きしていない会社が数多く存在します。
そこで、5S活動に何回もトライするが一年も経つと元の状態に戻ってしまう。みんなの協力が得にくい。職場の都合上、職場の仲間が一同に集まりミーティングすることができないなど、5S活動がうまく進まないのはその職場の現場力に影響します。なぜなら、現場力のある職場では5S活動をやろうと決心すれば続けられるからです。

現場力とは何か

職場の仲間が一丸となって立ち向かうということは仕事を優位に進めるために以前から叫ばれてきましたが、情報化社会の今日ではそれが更に強く要求さています。そのような現代の社会において、仕事を計画通りに実行し成果を上げるためには強いチームを作る必要があります。強いチームのいる職場の現場力は当然強いのです。
現場力とは仕事の現場における「組織として構成された人材の力量」、一言で表現するならば「現場で働く人の力量」であるという説明があります。つまり、それぞれの現場において問題を発見し、解決する能力を維持できている職場ということができます。現場力に関する説明をまとめると、現場力を高めるための具体的な能力とは次の三項目です。

行動力:職場で発生する様々な問題を自ら解決する力
改善力:職場の一部の社員だけではなく、全員が知恵を出し合ってより良くする組織の能力
継続力:現状に満足せず、高い目標を持って推進する力

この説明がもっとも分かりやすい説明であり、感覚的にも納得できるものです。現場力とは自ら問題を解決する力ですから、先ず、問題は何かを理解するために下図を参照してください。問題とは「職場の現状」と「管理基準や職場で決めたルールや規格など」とのギャップということができます。取り上げられた問題を解決する流れは次のとおりです。

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①あるべき姿とは、レストランの場合は美味しく安全な食事を提供することであり、クレームのない楽しい食事を提供することです。これに近づくために具体的な行動を決めます。
②工場の工程管理規格や手順書、店舗の衛生管理規格や異物混入防止など職場で決めたルールなどの標準や規定類です。
③現場で機械の部品交換や設備の故障、生産数量の変更などいろいろな要因によって、これらの標準や規定どおり実施されていないという出来事が発生する場合があります。
④上記の図のように、標準や規定どおりに実施されなかったという現状とのギャップのことを問題としてはっきりと認識することが必要です。
⑤ノンテクニカルスキルの向上により、ルールや規格とのギャップを縮めることが可能になります。

誤配膳防止のチェック方法や調理器具の置き場所の識別は店舗で決めたルールですし、手洗いや提供時間に合わせて調理するのは衛生マニュアルです。これを順守できなかったら問題と捉え、再発しないように解決する力が現場力になります。

病院5S活動の進め方

                      

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1.病院5S活動

病院では2000年~2005年頃から5S活動が実施されているようです。これは、1999年に多発した医療事故の再発防止として医療安全対策が始まったことにより実施されるようになったヒヤリハットや危険予知訓練などの影響を受けています。中でも、医療事故に対する考え方が、「医療事故は個人の注意不足」であると見られていましたが、2000年以降は「医療事故はだれでも起こりうることであり、チームや組織全体のあり方を変えなければ防ぐことができない」というように考え方が変化したことです。
それまで製造業を中心に実施されていた5S活動は医療関連分野にも徐々に知られるようになり多くの医療機関で実施されています。   

 

2.5Sの実践ポイント

病院5Sの定義は製造業で行われている5Sと同じですが、病院という職場環境の条件として要求される清潔であること、医療事故や労働災害を引き起こさないことが目的となります。
特に医療事故の防止については、処方箋の間違い、薬の投与間違い、連絡ミスなどの防止に大いに役立つことが実証されています。

 

① 整理(Seiri)
   要る物と要らない物を区別し、要らない物を処分する

<ポイント>
最初は自分の身のまわりからです。自分の責任の範囲にあるモノを、要るモノと要らないモノに分けて、要らないモノを捨てることから始めます。共有部分は、全員で分担して、使われなくなった古い器材を処分します。カルテや看護記録のような長期保管が決められているものに乗じて関連する書類や期限の過ぎた備品などが必要以上に保管されていないかチェックしましょう。
目に見えるところから整理することによって職場全体がかわっていくことを、全員で確認し協力しあう雰囲気を作っていきます。

 

 

② 整頓(Seiton)

   置き場所を決め、いつでも、だれでも使用できるようにする

<ポイント> 
必要なものを必要なときに迅速に取り出して使用できるように、モノの配置場所、配置方法を決めて表示するなどの工夫をすることです。書棚や机の上の整頓は他の職場と同じようにキャビネットに表示をつけるなどの定位置管理をすれば良いのですが、病院の特徴として、機器や薬の定位置管理です。これは、例えば、手術前の準備における定位置管理も含まれます。

 


③ 清掃(Seisou)
   ゴミや汚れのないきれいな状態を保つ

<ポイント> 

「清掃」とは、掃除をして綺麗な状態にすることであり、その過程において整理・整頓の実施状況の点検が可能です。また、清掃には「清掃は点検なり」と言われるように設備点検も含まれています。特に、病院特有なこととして清掃には、病原菌や細菌による院内感染の予防や、入院患者への食事提供に伴う食中毒の予防に対する洗浄・殺菌などの対策があります。

 


④ 清潔(Seiketsu)
   整理・整頓・清掃された状態を保ち、きれいな状態を保つ

<ポイント>  
上記の3つ「整理」「整頓」「清掃」を徹底してその状態を維持することですが、清潔は単に、整理、整頓、清潔を絶え間なく実施するということではありません。清潔を徹底するという意味は、「整理」では消費期限切れで不要なものが発生しないように一回に発注する数量を少なくする。「整頓」では書類を電子化する。「清掃」では清掃手順を決め誰が清掃しても同じ結果が得られるようにするなど、発生源対策まで実施することを表わしています。

 


⑤ 躾(Sitsuke)
   決められたルールを正しく守る習慣をつける

<ポイント>  
しつけとは、決定した取り決めを職場の全員で共有し習慣とすることですというと難しそうですが、具体的には、整理・整頓・清掃の3Sが常に正しく実行されることを維持することと、汚れの発生源対策などの予防対策について自発的な活動ができるようになることです。
特に病院において注意すべきこととして、5Sが不十分であると、処方箋の間違い、薬の投与間違い、連絡ミスなどを起こさないということです。更に、病院ではリハビリに訪れた患者や高齢の患者が治療の対象になる場合は、転倒などの事故防止に対する5Sの習慣化が求められています。
 

 

 3.5S改善の実施

病院で5S活動の重要性を結びつく原因となったであろう医療事故の一つが、1999年1月に発生した横浜市立大学医学部付属病院の患者取り違い事故です。これは患者二人を乗せたストレッチャーをエレベーターまでは、二人の看護師によって1台ずつ運ばれたが、エレベーターに乗せたところで、2台のストレッチャーは一人の看護師に任され手術室へ移動した。取り違いは交換ホールで手術室の看護師に引き渡された時に起きた。医療分野で大問題となったこの事故対策として、患者識別バンドをつける等の対策が実施されていますが、5Sの整理に基づく「識別管理」が実施されていれば問題は発生しなかったはずです。更に、くわしい5S改善については下記の「5S改善!現場力と5S改善シート」をご覧ください。

 

g5skaizen.hatenablog.com

 

  

 

 

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5S活動でCRM訓練実施

航空会社で実施されているCRM訓練は、航空機事故をヒューマンファクターズの視点から分析して1980年代の初めに完成したとされています。「気づき」を促進する訓練であるということで下図の紹介があります。航空機や医療の緊急事態に対して5SCRM訓練では、5Sの改善テーマがそれにあたります。5S改善の活動の中で、現状把握、意思決定、コミュニケーションなどのCRMの要素について見直して、自分に欠けているチーム力向上のためのスキルが何であるかに気付き、それを習得して向上をはかるものです。ここでは航空界や医療関連の訓練とは異なる、クレームや改善をテーマにした「5S訓練」によりチーム力を向上させる5S活動の進め方を紹介します。

 

チーム力育成訓練で気づきを養う
自分の頭で考え、自分の言葉で発言し、自分の心で気付いて、自分の体で実践する!

 

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CRM訓練はノンテクニカルスキルを使って5S活動をうまくやろうというのではなく、チーム力強化の手段として活用しています。つまり5S活動そのものがCRM訓練ということです。
職場で必要な材料がどこに置いてあるか隣の人に聞く、工具箱の前に大きな箱が置いてあるため箱を動かさないと取れない、見つかっても使いものにならなかったというような、整理、整頓、清掃ができていない現場はいくらでもあります。このような現場における訓練の中のコミュニケーション中で、「何でこの機械がここに置いてあるのですか?」と聞くことによって、「この機械の置き場所は正しくない」という「気づき」が生まれます。この「気づき」はチームワークの基本であることより、他人事を他人事としないで、我が事として捉えて、多くのことに常に周囲に関心を持って、それらについてよく考えて情報交換することが大事だと言われています。

 

1) 訓練の方向付けの説明(訓練の概要)CRM訓練の理解(訓練の目的)
CRMで向上をめざすスキル(訓練項目)


5SCRM訓練で目指すのは、チーム力を向上させるために必要なノンテクニカルスキルです。その主なノンテクニカルスキルを次の5つに整理しました。

 

① 効果的な5Sチームをつくるリーダーの能力
•リーダーとメンバーやメンバー個々は何でも言える雰囲気・環境をつくる
•リーダーはメンバーの意見を基に率先して進める
•メンバー一人ひとりが、個々の役割のリーダーとして行動する

 

② コミュニケーション力
•ブリーフィングとは訓練を開始する前に行う事前打ち合わせて情報を共有する
•権威が低い側でのコミュニケーションにはアサーションを活用する。とは「自己表現」のことで、自分も相手も大切にして情報や疑問について自己表現することです
•権威が高い側でのコミュニケーションでは、意見の出やすい環境つくりを行う
•確認会話とは相手の言葉をそのまま繰り返すのではなく、言い換えや結果として起こることを相手に伝える方法に確実に相手に伝える

 

③ 適切な役割の配分
•メンバー個々の勤務形態や業務内容を考慮した役割配分を行い相互にサポートする
•適正な負荷配分による平準化で、チームで対処する意識を持つ
•自分が得た情報は関係者間で共有する

 

④ 状況認識力
•複数の情報を入手し理解することによる状況を把握、認識と共有
•現在の状況だけでなく、この先どうなるかということについて警戒と予測
認知バイアスなどによる複雑な情報で状況把握
•鳥の眼で対局を、虫の眼で一点集中して、魚の眼で作業の流れを見る

 

⑤ 問題解決能力
•原因分析の結果による解決策の選択
•解決策の実行
•決定、行動のレビュー
•誰が正しいのではなく、何が正しいのか

 

 

 

 

 

 

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5Sという言葉が使われはじめてから半世紀を過ぎた現在でも、多くの会社では「現場の基本は5Sである」「会社の基盤である」として取り組まれています。しかし、その実態は多くの会社で効果がでない、定着しないという問題をかかえているといわれています。実際、現場で5S活動が継続しなかった理由として、「5S活動推進が宣言されたが、すぐ衰退しなくなった」「5S活動に参加したが、忙しいだけで効果がなかった」など継続できなかった声が聞かれます。5S活動が続かなかったということは、その進め方が適切でなかったと考え新しい取り組みを進め活性化することを目的にしています。
しかし、会社の多くの部門、営業所や店舗の中で、5S活動が定着しているところは、本業の成績も良いのです。つまり現場力のある会社では5S活動が定着し成果をあげているということです。「5S活動に不可欠なこと」として示した「全員参加」や「自発的行動」はチームワークの必須要件です。
そこで、前述したノンテクニカルスキルの向上をはかるために5S活動を実施し、「行動力」「改善力」「継続力」の向上により現場力を高め、本来業務で成果をあげ経営に貢献するチーム作りを提案するものです。

 

 

5S活動へのCRM訓練導入
CRMとはCrew Resource Managementの略で、航空界で問題発生前に問題に対処する訓練を行い問題の要因の発生を防ぐことを目的とする活動であり、CRM訓練は活用できる全てのリソースを利用して「チーム力」を発揮するための訓練であると説明があります。全ての危険を前もって予知し訓練することは、航空界だけでなく医療界や化学工業など他の産業界でもそのリスクに応じた取り組みがなされています。

 

 

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航空界におけるCRMはノンテクニカルスキルの向上を目指した訓練ですが、5S活動を行っている産業界においてもこのCRMを活用することが可能でありノンテクニカルスキルの向上が期待できます。メンバーが力を合わせて仕事を遂行するためには、ノンテクニカルスキルの中でもコミュニケーションスキルが最も重要な要素になります。
「人間の行動は、個人の性格と意識の影響を受けるが、性格は長い時間かけて形成されるもので簡単には変えることができないので、意識を変革する」というCRM訓練の基本的なコンセプトの説明が紹介してありました。この説明は、5S活動が定着して効果をあげている会社の成功事例の中で、共通して出てくる「意識改革」と共通するものであり、これはCRM訓練の有用性を示すものです。
ノンテクニカルスキルを身につけるために、書籍や研修に参加して70%程度は身につけることができますが、残りの30%は本人の意識が変わらないと行動を変えることはできません。そこで「気づき」を与えるために実施されるのがCRM訓練です。

現場力を高める5S活動

5S活動は、製造業を中心に実施されてきました。さらに、医療関係でも5S活動が盛んに実施されています。最近はサービス業でも5S活動に取り組む会社が増えてきています。サービス業の中では小売業や宿泊業界でも積極的に実施されています。しかし、5S活動は当たり前のこと、良いことであることは分かっているが利益につながらないとして長続きしていない会社が数多く存在します。
そこで、5S活動に何回もトライするが一年も経つと元の状態に戻ってしまう。みんなの協力が得にくい。職場の都合上、職場の仲間が一同に集まりミーティングすることができないなど、5S活動がうまく進まないのはその職場の現場力に影響します。なぜなら、現場力のある職場では5S活動をやろうと決心すれば続けられるからです。

現場力とは何か

職場の仲間が一丸となって立ち向かうということは仕事を優位に進めるために以前から叫ばれてきましたが、情報化社会の今日ではそれが更に強く要求さています。そのような現代の社会において、仕事を計画通りに実行し成果を上げるためには強いチームを作る必要があります。強いチームのいる職場の現場力は当然強いのです。
現場力とは仕事の現場における「組織として構成された人材の力量」、一言で表現するならば「現場で働く人の力量」であるという説明があります。つまり、それぞれの現場において問題を発見し、解決する能力を維持できている職場ということができます。現場力に関する説明をまとめると、現場力を高めるための具体的な能力とは次の三項目です。

行動力:職場で発生する様々な問題を自ら解決する力
改善力:職場の一部の社員だけではなく、全員が知恵を出し合ってより良くする組織の能力
継続力:現状に満足せず、高い目標を持って推進する力

この説明がもっとも分かりやすい説明であり、感覚的にも納得できるものです。現場力とは自ら問題を解決する力ですから、先ず、問題は何かを理解するために下図を参照してください。問題とは「職場の現状」と「管理基準や職場で決めたルールや規格など」とのギャップということができます。取り上げられた問題を解決する流れは次のとおりです。

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①あるべき姿とは、レストランの場合は美味しく安全な食事を提供することであり、クレームのない楽しい食事を提供することです。これに近づくために具体的な行動を決めます。
②工場の工程管理規格や手順書、店舗の衛生管理規格や異物混入防止など職場で決めたルールなどの標準や規定類です。
③現場で機械の部品交換や設備の故障、生産数量の変更などいろいろな要因によって、これらの標準や規定どおり実施されていないという出来事が発生する場合があります。
④上記の図のように、標準や規定どおりに実施されなかったという現状とのギャップのことを問題としてはっきりと認識することが必要です。
⑤ノンテクニカルスキルの向上により、ルールや規格とのギャップを縮めることが可能になります。

誤配膳防止のチェック方法や調理器具の置き場所の識別は店舗で決めたルールですし、手洗いや提供時間に合わせて調理するのは衛生マニュアルです。これを順守できなかったら問題と捉え、再発しないように解決する力が現場力になります。

ヒヤリハットと5S活動

ヒューマンエラーを防止するための改善
ヒューマンエラーは正しいと思ってやったものの人がミスや間違いを犯してしまう人的エラーです。ヒューマンエラーは皆さんの職場でも発生していると思います。一生懸命誠意を持って仕事をしているのにヒューマンエラーが起きると、もちろんお客様にご迷惑をかけてしまって大変ですし、当事者もショックを受けることになります。


1)誤配膳などのヒューマンエラー対策も5Sが必要です。
  ヒューマンエラーの起こりにくい環境


2) 置場管理、識別管理、指差し呼称、ダブルチェックなどの改善手法を取り入れた5S活動を活用する。

ヒューマンエラーはヒヤリハットの段階でつぶしましょう。



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なぜ、ヒューマンエラーが起きるのかというと、それは、図のハインリッヒの法則を見てください。ハインリッヒの法則とは、「1つの重大な事故の裏には29の軽微な事故が、そして300のヒヤリ・ハットがある」という内容です。労働災害防止によく引用さています。ヒヤリ・ハットとはその名の通り「ヒヤリ、ハッとする」事態のことです。

医療安全管理協議会で定められている「影響度分類」では、1件の重大な医療事故の背景には29件の軽微な事故を含めてアクシデントと呼ばれ、更に300件のヒヤリ・ハットが存在するというピラミッド構造になっています。尚、医療におけるヒヤリ・ハットは、インシデントと呼ばれています。医療の分野では、ヒヤリ・ハットが盛んに行われており、厚生労働省が発表しているリスクマネージメントマニュアル作成指針では、「患者に被害を及ぼすことはなかったが、日常診療の現場で、“ヒヤリとした” “ハッとした”経験を有する事例」と定義されています。どのような仕事においても日々の仕事の中で、ヒヤッとしたこと、ハットしたことはたくさんあるはずです。事故を未然に防ぐために、それらのヒヤリ・ハット活動に真剣に取り組み対策を実施する必要があります。事故やクレームの多くは、はじめて・久しぶり・変更に伴う作業時に発生しており、小さなことと思えることが事故の引き金になったケースが少ないからです。


アクシデント
重大な事故、重大事故に至る事案が発生し、実際に事故につながった事例。「1」に含まれます。


インシデント 
潜在的事例。重大事故に至る可能性のある事案が発生したが、事故には繋がらなかった事例。「300」に含まれる。


ヒヤリ・ハット 
ヒューマンエラーによる事故やトラブルの芽を、ヒヤリ・ハットによって摘み取っておくことによって、軽微や重大な事故を防ぐことにつながります。


ハインリッヒの法則は、表面化していないヒヤリハットレベルの小さなことが300件あると、30件は事故となって表面化しているということです。しかも、30件の中の1件は、いくつかのチェックをかいくぐって出て行って重大事故につながることを示しています。
そこでヒューマンエラーを防ぐためにやるべきことは、表面に出てきていない海面下を崩すことです。つまり、ヒューマンエラーの起きにくい環境をいかにつくるかということです。これがヒューマンエラーに対する5S活動の目的です。
ヒューマンエラーは、集中してゆとりがあって仕事をしている時にはほとんど起きません、じゃどういう時に起きるかというと、時間外の変更指示や事故などによる人員不足などかなり緊急でいろんなことをやらなくてはいけないときに起きるということです。そういう状況があった時に問題がおきないようにするためにはどうしたらよいのかというのが「5S改善」の取り組みです。
したがってプロセスの中に弱い部分があれば、各人の危険感受性でヒヤリハットとして水面下のものを察知して表面に出てくる前に対策しましょうということです。つまり個人の感受性によるということですので人によって差があるということです。事故を起こすと大変だな、仲間が災害に巻きもまれないようしようと強い気持ちがないとヒヤリハットは生まれません。「大事に至らないですんだので安心だ」「何とかなるもんだね」という考えでは感性は徐々に低下していきます。

ではここで、ヒヤリハットについて少し触れます。ヒヤリハット労働災害の分野で生まれたものですので、つまり、高いところから落ちそうになってヒャリとしたという場合や横断歩道を渡っていたら突然車が横に来てハットしたというのは分かりやすいのですので、これを品質について事例をあげると次のようなことがあげられます。


ヒヤリハットの事例>  

(事例1)
作業現場に放置してあった資材につまずき転倒しそうになった。

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(事例2)
レストランで料理を運ぶときにお客様にぶつかり、あやうく料理を床に落としそうになった。

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(事例3)
ご飯をよそう時に、茶碗のふちに毛髪が付着しているのを見つけた。

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(事例4)
食数を計算している時に、追加の食事の連絡を指示していないのを思い出した。

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g5skaizen.hatenablog.com

ヒューマンエラーと5S改善

2020年9月23日
ヒューマンエラー対策については、5S活動によってヒューマンエラーの発生しにくい職場環境作っていくことが第一の目標になります。クレームが発生した時は、それがヒューマンエラーなのかそうでないのかは不明な場合もあるので、先ず、基本に則って現場・現物で真の原因を追究します。これによりなぜクレームが発生したのか答えはおのずと出てきます。ヒューマンエラーは人為的ミスなので、ミスが発生したからと言って必ずしもヒューマンエラーにはなりません。


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ヒューマンエラーの防止
無意識のうちに決まっていることをやらなかったため、あるいは禁止されていることをやったために発生していたら、それらはヒューマンエラー(人的ミス)に該当します。誤配膳が発生しても、これはヒューマンエラーだからしかたないと片付けてしまっては再発防止できません。
ヒューマンエラーの対策は難しいですが、先ず、どんな種類に該当するのかを知ることによって、その原因や対策の方法が見えてきます。



1. ヒューマンエラーの分類
ヒューマンエラーの分類には、「結果からみたヒューマンエラーの分類」と、「原因の違いによるヒューマンエラーの分類」などがあります。不安全行動の中にはヒューマンエラーにならなかったものがあります。図の点線で囲んだ錯誤(スリップ)、失念(ラプス)、ミステイクは意図しない行動によるエラーです。


1.1 原因からみたヒューマンエラーの分類
ヒューマンエラーは、自分のとった行動が本来の「意図」からずれて別の結果につながってしまったものといえます。こうしたエラーが生じる原因とし大きく次の3つに区分できます。

スリップ : やろうとしたことは正しいのに実行段階で失敗してしまう(行動の間違い)
ラプス  : 実行の途中でやろうとしたことを忘れてしまった(行動の忘れ)
ミステイク: 正しく実行はできたけれども、やろうとしたことそのものが間違っていた(判断ミス)

違反もヒューマンエラーに加えて分類されている場合がありますが、面倒だから、楽をしたいからと決められた手順を省略して別の手順が定着した結果が事故につながった例もあります。こうした意図的ルール違反行動は不安全行動とよばれ、ヒューマンエラーとは区別されます。


1.2 行動からみたヒューマンエラーの分類

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2. ヒューマンエラーの要因と人間の特性
(1) スリップ(やり間違い)・・・人間の特性「行動」
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錯誤の事例としてうっかり(勘違い)があります。指示書の見まちがいや思い込みによる間違いがこれに該当します。ミスの原因の中でも、うっかりによるミスは少なくないようです。このようなミスは誰でも経験し、苦い経験があるものです。発生現象によって、「取り違い」「思い込み」「飛ばし」などがあります。
うっかりミスは「時間がない場合」や「体調不良の場合」に発生することが考えられます。これらの要因によって、集中力を維持することができなくなった時に発生しますので、できるだけ集中力を維持できるようにすることが対策になります。集中力が維持できないことの背後要因としては、「周囲がうるさい」「作業がさえぎられる」「落ち着かない環境」などがあげられます。



(2) ラプス(やり忘れ)・・・人間の特性「行動」

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すっかり忘れちゃって・・・
失念の事例としてし忘れがあります。会議の予定を忘れてしまい会議に出席しなかったというようなミスで、よく経験することです。
し忘れは毎日のように私たちの周囲で発生しています。取引先から請求書を受け取ったが来客があり忙しい日であったので、後で処理しようと思っているあいだに忘れてしまい指定の支払日までに処理できず信頼を失う事態になった。
やろうとする本来の業務の前の作業は忘れる可能性が高い、例えば食事という本来業務の前に薬を飲むのを忘れるようなケースがこれに該当します。
一方、エアコンの掃除を終わらせたが、エアコンの上に点検工具を置き忘れたまま運転を開始したというような、本来業務の後の作業を忘れてしまった場合です。このように、本来業務の前後の作業においては、「し忘れ」というエラーが発生する傾向があります。



(3) ミステイク(判断ミス)・・・人間の特性「判断」
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今までは行動そのものの間違いでしたが、ミステイクに分類される失敗は、動作以前の段階で間違っており、行動の結果、うっかりミス(錯誤)であったことが分かるケースです。
例えば、N駅は地下鉄への乗換駅だから快速電車も止まるはずだと思い込んで、N駅で地下鉄M線に乗り換えようと、ホームに入ってきた快速電車に乗り込んでしまった。電車内のアナウンスも周囲の騒音が大きく聞き逃してしまった。そして、電車がN駅に停まらず通過してはじめて自分の犯したエラーに気づくというどんでん返しを受ける事です。また、目的の店は7階にあると思い込んでいて、エレベーターに乗って7回のボタンを押したら違う店であったという場合もこれにあたります。更に事例をあげると、電話番号の「3」と「6」をつい押し間違うのが「うっかり」で、電話番号を間違って覚えていて「6」を押すのがミステイクです。



(4)能力不足・・・人間の特性「行動」

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仕事に対して必要な技能がなかったためにおかしたミスです。
新入社員によく見られるのが知識不足や経験不足や思い込みから来るヒューマンエラーです。上司や先輩社員からの十分に理解しないまま作業に着手してしまい、あいまいな知識のまま誰にも質問することなく自分一人の解釈で作業してしまい発生します。経験を積んで業務に習熟してくればこのヒューマンエラーは減ってきますが、知識の絶対的な不足が根底にあるのでこれを解決するためには、周囲のサポートも含めた対策が不可欠です。



(5) 無理なこと・・・人間の特性「認知」

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無理な事とは、人の能力を超えた作業があった時に、それに対応できずにエラーが発生する場合です。これには、目視検査作業における視力、視野の範囲外の作業や高精度の技能を必要とする作業などが該当します。これらの無理な作業は、短い時間であれば集中力を維持できますが、長時間繰り返しているといつかミスが発生します。
人間の視力、記憶力、聴力、嗅覚、味覚といった能力を超えた場合、ヒューマンエラーの発生する可能性が非常に高くなります。
例えば、パーティー参加人数を口頭で15人から17人に増やすように連絡を受けた時に、17人ではなく18 人と聞き間違ってしまったというようなケースがこれにあたります。人の五感にも限界があります。大事なことは口頭ではなく、必ず文書で連絡する、受け取る時も文書で受けるというのもこのような間違いを防止するためです。過去に口頭で言ったことが相手に伝わらなかったために発生した事故は少なくありません。
無理な事とは、このように人の認知能力の限界を超えたために発生するエラーです。



(6)知識不足・・・人間の特性「認知」

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知らなかった?
日常のコミュニケーションで事前に知る!

仕事に対して必要な知識がなかったためにおかしたミスです。特に教育・訓練で重要な事は、何故そのようにしないといけないのかという理由を教えることです。
a.改訂された作業手順書の内容を正確に理解していなかったために、担当者に誤った説明をして作業を混乱させてしまった。
b.新人の調理師が翌日使用の冷凍アジの仕込み段階において、冷蔵庫による緩慢解凍をしなければいけないところを流水によって解凍を行った。




3. ヒューマンエラーの分析の注意点
ヒューマンエラーが起こると、ミスを起こさないように、細心の注意を払います、意識づけを強化します、教育を徹底し技能向上に務めますなどという対応をしがちです。しかし、これは、ヒューマンエラーの原因をすべて人間のせいにしています。そもそも人間はこのような対策を行えば完璧なものになるものではありません。そこで、ヒューマンエラーは関連する、手順書、調理機器、環境、人から構成されるシステムの一部の欠陥によるものです。もちろん人間もシステムを構成する一員ですので、要求される知識や技能を備えておくのは当然のことです。

3.1 スイスチーズモデル
スイスチーズモデルは、事故は単独で発生するものではなく、複数の事象が連鎖して発生するものです。

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3.2 ヒューマンエラーはシステムの欠陥とは?
ヒューマンエラーは人的ミスと言われていますが、発生原因や対策を検討する前に注意しなければならないことがあります。それは、ヒューマンエラーは「システムの中で発生した人間のエラー」であるという考え方を持つ必要があるということです。つまり、ヒューマンエラーの発生は、それを起こした一個人の問題ではなく、システム全体の問題点がヒューマンエラーという形となって表に出てきたと考えないと止まらないということです。
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3.3 ヒューマンエラーは結果であるとは?
ヒューマンエラーが原因で問題が発生したとすると根本原因に到達せず再発することになります。ヒューマンエラーとは、人間のとった行動が意図しない結果を生じてしまったことです。つまり、正しいと思って行動した結果が期待されている範囲を逸脱した結果です。そこで、なぜ正しいと判断したことが期待どおりいかなかったのか原因を明らかにして再発防止の対策が必要になります。




4. ヒューマンエラーの発生要因と対策
人は同じ仕事をしていても、ヒューマンエラーを起こす場合と起こさない場合があります。人はいつも同じ状態ではありません、体調が悪かったり、悲しい出来事があったり、また、楽しくてうきうきした気分の時もあります。このように人の心の背後にある感情の影響を受けて、同じ仕事をしてもヒューマンエラーにつながることのないように対策し、要因を一つ一つつぶしていきましょう。

(1) スリップ :認知→行動は正しかったが、実行段階で失敗してしまう
[強い意志がない時に、潜在意識によって引き起こされる]
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<対策>
1) 習熟して慣れた作業で、何らかの変更など慣れない作業を入れるとミスしやすい。
→指差し呼称が有効
2) 集中力の低下 →15秒ごとにボタンを押さないと減速する、二つのボタンを同時に押さないと動かない
3) 失敗しても大勢に大きな影響がないと考える時、責任感や注意力が低下しミスが生じやすい(リンゲルマン効果)→ダブルチェック
4) 心離れ大事なことが終わると、その達成感で、他のことを忘れてしまう。→注意喚起
5) 共通点があり似ていた(スリップ)→色別管理
6) 今、行っている作業以外に意識がいってしまった→心ばなれの時間帯に注意喚起
7) 難しい作業を技量でカバーしている→誰にでもできる作業にする
8) チェック項目が多い→チェックリストの読み合わせ


(2) ラプス :実行の途中で計画自体を忘れてしまった
「未来によろうとしていること」が思い出せなかったこと
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<対策>
① 作業の主要部分の直前の失念防止のため、直前にいろいろなことを行わない。
② 作業の主要部分の直後の失念防止のため、作業の主要部分を最後にする
③ 主要部分の前後のチェックを行う。


(3) ミステイク:正しく実行はできたけれども計画そのものが間違っていた
•動作以前に間違っており、行動の結果うっかりミスであることが分かった。
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<対策>
① 自分で気づかせる 自分のエラーに気づく力を高める
② 人間だから間違っていないかを確認させてもらう


(4) 違反・・・人間の特性「行動」

人は規則を破り、理由をつけて手抜きをし、手順を省きます。これには様々な背景があります。


(4) 違反・・・人間の特性「行動」

人は規則を破り、理由をつけて手抜きをし、手順を省きます。これには様々な背景があります。

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「これくらいは大丈夫だろう」、「面倒くさい」、「皆がやっているから」、「作業を早く進めるためには仕方がない」など、また「長年経験しているから大丈夫」、「自分が事故を起こすはずはない」など慣れや過信から、「あるべき姿」を逸脱する安易な行動がとられた結果、事故に発展するケースが少なくありません。

運転時のスピード違反や一時停止無視など、日常を思い出せば決して他人事ではありません。不安全行動はすぐに事故に結びつくとは限りませんが、繰り返している中でヒヤリとしたりハッとしたりすることも多く出てきます。そうしたヒヤリ、ハットの積み重ねの中にほかの要因が加わるなどして、あるとき重大な事故が発生することになります。


[初心者の違反]
a. 身についていない
b. はずかしい
初心者の違反は知識不足であっても熱心にやった結果として違反する場合が多いですが、熟練者の違反は意図的で故意である場合が多くあります。

[熟練者の違反]
熟練者の場合は初心者の場合と異なり、規則やマナーについては良く知っているのですが、意図的にこれに従わなかったために発生するものです。このような違反は故意ですので必ず理由があり、また人の性格が影響する場合があります。故意には次のような種類があります。


1) 権威による圧力 →圧力をかけない

2) 手順が合理的でない 人は最も楽で合理的な方法を自然に選択します。例えば、公園の芝生  
を斜めに横切るルートが最短であれば多くの人がそこを通り、芝生は
はげてしまいます。この場合の最良の解決方法は、最短ルートを通れ
るようにしてしまうことです。→手順の見直し

3) あせり ミスのない作業には、適度な緊張感のある「遅くはないが、慌てないペース」が理
想です。一方急な受注や不良品のため特急作業が生じると、作業者は自然と急いで
作業します。→急がせない

4) マニュアルの形骸化 時間の経過と共に作業指示書・マニュアルの経緯を知る人がいなくな
り、作業手順書・マニュアル以外のことを「試してはいけない、考え
ても行けない」という融通の利かない運用になってしまいます。これ
を防ぐためには作業手順書・マニュアルは、「守るためのものだが、
されど変えるためにもある」と考え、定期的に見直しを図ります。→
マニュアルの意味を理解させる


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5. 5S活動
ヒューマンエラーが発生した時とるべき行動は、発生させた人をせめないことです。発生させた人が悪いのではなく、発生するような「仕事環境」にあったのは、「職場環境」の改善が不十分であったと考えましょう。
誤配膳や味に対するクレームの原因は、ヒューマンエラーであると一言で片付けたら決して事故はなくなりません。一つひとつのヒューマンエラーが何故おきたのか、当事者を含めてその原因を究明し対策をとらないといけません。

5S改善でヒューマンエラーの発生要因をなくすことについて説明します。5S活動を実施すると何が良くなるのでしょうか、それは次の三点です。
1)仕事場の環境の改善
長期に渡って発生している欠陥であり、致命的ではないので大きな問題にならない。そのため放置されているため、次の慢性不良やムダの発生の原因になる場合があります。
2)慢性的に発生している商品やサービスの不具合
製品の慢性化した不良に気がついても小さいので見逃すような事や、今は小さな事でチェックすることにより取り除くことができるが、放置すると顕在化して不適合になってしまう。
3)能率が悪い
ムダなこと、捜し物をする時間など、本来ならしなくてもよいこと、不必要なことに時間を費やすことをなくし能率アップをはかります。
5Sは手段あるいは手法、道具とも言えます。5Sという手段や道具があっても、持っているだけでは何も生まれません。その手段や道具を正しく使いこなしてこそ成果が出てきます。使いこなすために欠かせない要素が、全員参加と自発的行動です。
① 全員参加5S活動は全社員が共に仕事をする職場の環境を改善する活動であるため、全員参加が前提ですが、メンバー間の温度差をなくす気配りが必要です。
② 自発的行動自分は何のために5Sをするのか考え、理解し、自らの意思(目標)を決めることによって、やらされ感がなくなり自発的行動が生まれる。

<対策>
① やめる ヒューマンエラー発生の可能性のある作業をなくす
② できないようにする 物理的制約を加えるなど
ヒヤリハット