これからの5Sを提案する「5S活動チーム」

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いつまでもうまくいかない5S活動!

                                                                                                       

 

5S活動は、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の5つで、当たり前のこと、簡単なことだと解釈し、5S活動をスターしても多くの場合長続きしません。

 

 

 組織特有の根本原因を明らかにしましょう。

 

1)何のためにやるのかという5S活動の目的を理解しておらず、5Sとは掃除をして職場をきれいにすることだと理解している。

 

2)5S活動をやる時間がないほど忙しいのに、更に何をしなさいというのですかと不満がある。

 

3)5S活動のやり方を知らない、毎日掃除をしてきれいにしているのにこれ以上どうすればよいのか分からない。

 

4)5S活動が利益に貢献していない、大切なことは分かるが利益に貢献していないのではという疑問が出てくる。発表会や報告書は立派にできているが、その内容は事実と乖離しているため会社の業績に貢献していない。

 

5)5S活動に対しやらされ感がある、イヤイヤやっても効果はない。

 

6)社内に5S活動に対して温度差がある、全社員の理解なくしては5S活動の成功はない。

 

 

 

 

その対策は間違っていませんか?

 

1.5Sチェック表の結果を競わせる。

5S活動とは5Sチェック表による評価で良い点数をとることだと理解しています。上記の3)5S活動のやり方を知らないことが原因のようです。「全員参加」で「自発的」に活動しましょう。

 

2.5S活動がうまく進まない原因を究明しないまま活動方針を変更する。

3S活動や5S活動などいろいろありますが、5S活動を推進中に方向転換するためには、その意図が全社員に正しく理解されることが重要です。そうでないと、全員参加の自発的な5S活動の継続は不可能です。

 

3.計画を立てず、乱れたら、その都度5Sを実施する。

乱れたところをその都度、整理・整頓・清掃を実施している状況では、職場環境を改善し維持することは期待できません。なぜなら、5S活動は良い状態を維持するために実施されるものであり、社員の育成も難しいものになります。

 

 

 

 

 

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5S活動を続ける秘訣!

                                                                                                       

5S活動を続ける秘訣!

 5S活動の不可欠な要素として、「全員参加」「自発的行動」を説明しました。更に、5S活動で扱うテーマは、会社の事業計画の項目としてあがってこない現場の小さな改善であり、5S活動はその小改善を全員で実行し、自分たちの仕事がスムーズに進められるような、大きな成果を得ようという活動です。

 

1.5S活動の仕事化

 5S活動をやっているといっても、管理・監督者を含め積極的に実施している企業から、言われた時だけしぶしぶ整理整頓する企業までかなりのギャップがあります。しかし、このような状態の組織を、5S活動が続かない原因を明らかにして対策を実施し、継続可能な状態に持っていくにはかなりの困難が予想されます。

5Sをうまく進め定着させるためには何をすれば良いかについても見てきました。定着させるために重要なことは、先ず、5Sも日常業務と同じように仕事の一部として考え行動することが必要です。仕事は計画をたて効果がないと実施しません。これと同じように5S活動においても次のように仕事化することが必要になります。仕事の中では、先ずモノの5Sを、次に仕組みについて考えましょう。次の①~④を参考に今できる5Sを実施しましょう。

 

  • 自分のために、職場のために役立つことをイメージする

成果に結びつく5Sを行うには、「どのような効果を得るのか」「そのため何をどうするのか」をイメージ(計画)することが大事です。

  • イメージしたことを実行するうえで障害になるものは、事前にすべて洗い出して対応策を準備しておく。 

 

  • 徹底しないと効果はでないのは仕事と同じ

清掃を徹底するとはきれいに掃除するだけでなく、清潔な状態を維持するために工夫が必要です。ゴミの発生源の除去や衛生水準の向上、清掃時間の短縮などを実現することです。

  • 積極的な業務改善で5S改善手法を取り入れる

賞味期限管理の改善において、不要なモノ(期限の過ぎた食材)は食品庫に置かないという「整理」の実施、アラート表示、先入れ先出し、受発注の見直し、材庫管理の見直し、問題点を抽出し対策案を決め、皆で守る。

また、5S活動の組織が会社の組織とは別になっており、しかも上司が5S活動に無関心ではうまくいきません。

 

・・・5S活動が定着している会社と定着していない会社

① 5S活動が定着している会社

5S活動が継続し効果が出ている会社は、過去の経営危機を乗り越えてきた会社や、トップの強い熱意で推進している会社など様々です。いずれの会社も全員で課題を共有し社員の意識改革が実践できた会社です。さらにこれらの会社に共通することとして、5S活動に不可欠な自発的な行動と全員参加ができる社員の意思の尊重と社員が5S活動を実践できる職場環境が会社ぐるみで構築されています。

② 5S活動が定着していない会社

多くの企業で長い期間に渡って5S活動に取り組んでいても、なかなか定着しないため苦労している方も少なくありません。また、一時的に5S活動が盛んであった企業もいつのまにか元の状態に戻ってしまったという話もよく聞きます。「徹底して5S活動をやろう」という掛け声だけでは継続できるものではないことは、5S事務局や5S活動に携わっている多くの方がいやというほど経験しているのではないでしょうか。

多くの場合、先ず、職場を整理・整頓してきれいな職場にしようという美化運動から入るため、ほぼ満足できるきれいな職場になった場合、次の段階へステップアップできず、定着しない場合が多くあります。掃除をすることが目的となっていた場合に起こりやすい落とし穴です。このように、何を改善して仕事をやりやすくするのかという具体的な目的がない場合は、自分の意志ではなく、指示に従ってイヤイヤやっている。あるいは、5Sチェックで指摘されたところだけやるようになります。

 

 

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2.現場の5S活動チーム

5S活動は全員参加による会社全体の活動です。管理・監督者だけでなく社員全員の活動であり、決して現場の若い人たちだけで行うものではありません。会社には、営業、総務、経理、製造など、業種や扱う商品によって組織も色々です。更に、そこで働く従業員においても力量、年齢などに加えパート社員による勤務形態もバラバラになっています。

 

・・・現場にできないことがある

① 会社の組織的な理由で現場ではできないこと

現場とは会社の本業において付加価値を作り出している職場です。製造業では設備や機械を使って製品を作っています。サービス業においては色々な商品を並べお客様に買ってもらっています。このように会社の利益を稼いでいるところです。ここで更に現場の作業について製造業の事例を見てみると、例えば重量物を扱う現場で作業する人が落下物によるケガを防ぐために履く安全靴の数が少なかったら、忙しい時期には全員が履くことができないため作業効率が悪くならないように、人数分の安全靴を用意するという配慮は管理者でないとできません。また、決められたルールを正しく守るということについても、「決められたとおりに実行する」ように指導することも管理者の役割です。

 

② 業界や社会的な背景により現場でできないこと

業種によっては職場ではチームメンバーの中から管理者を選ぶことができない場合があります。例えば、販売員の社員一人とパート社員数名から構成されている職場においては、毎日の業務に振り回されているというのが実態です。このような場合、会社が5S活動を宣言していた場合、管理部門からリーダーを派遣して推進することもあります。このような場合、強制的に推進することによって、メンバーのやる気をなくさないように注意が必要です。
特に、パート社員のように勤務時間が異なる社員に対しては、「自ら進んで参加する気持ち」になってもらうためにどのような方法が必要かひとり一人について気配りする必要があります。

 

③ 業界の繁忙期で活動に波があるため現場でできないこと

繁忙期はほとんどの業界で多少はあるものです。サービス業では、旅行業界の繁忙期は春・夏・冬、引っ越し業界や保険業界は3月、飲料業界は夏や冬であると言われています。また、年度初めや年度末などは一般的に忙しい時期ですが、新店舗のオープンが重なる時期や、短納期で計画されたプロジェクトなどでは休みが取れない時期があります。このような時期は1年をとおして特に忙しい時期ですので、日常業務以外のことを実施することができません。したがって、5S活動もこのような時期は小規模になります。年間をとおしてメリハリのある5S活動が必要になります。

 

5S活動を推進するに当たって、会社のどの部門が何を担当するのかについては会社の歴史や組織の体制によって多少違いますが、多くは5S委員会などを立ち上げて5S活動が実施されています。どちらが良い、悪いということではなく、個別の会社の都合によって適切に運用されることが重要です。

小規模の営業所や店舗の現場にはオペレーターのみ配置している会社もあります。そのような会社においては、清潔やしつけの担当については本社の管理部門が担当するなど柔軟に考えましょう。

 

 

現場は毎日の生産により会社の利益を稼いでいる第一線の職場です。5S活動のやり方が分からない、ルールを改善したいなどというようになっても、規格書や基準書の改訂などのルールを変更することができない場合は、管理部門もチームメンバーに加えるなど柔軟に考え全員参加の活動をしましょう。

 

 

 

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自力によるISOマネジメントシステムの構築を支援

                               

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ISOマネジメントシステムの改訂
ISO9001:2015品質マネジメントシステムをどのように運用されているでしょうか、ISO14001:2015環境マネジメントシステムについてはどうでしょうか、あなたの会社では品質、環境に加えて労働安全衛生や情報セキュリティなどのマネジメントシステムの認証も受けているということはありませんか。これらの規格をどのように運用していくかについては各組織の考え方によりますが、これらのマネジメントシステムを統合するメリットがあるのでしょうか。
私は管理責任者として多くの審査員と会ってきましたが、審査の都度「品質マニュアル」と「環境マニュアル」の統合を勧められました。最終的な結論は、「統合せず、品質マニュアルと環境マニュアルの二本立てとする」ことに決めました。その理由は、統合による次のようなデメリットが、合理的であるという統合のメリット
をカバーできなかったためです。
[統合マニュアルのデメリット]
1)管理の対象が異なるため、要求事項
が完全に一致していない。
2)品質又は環境の「分かりやすい表現」が、どうしても「曖昧な表現」になる。
3)マニュアルを理解するための、要求事項に関する更なる知識が必要になる。
4)管理責任者やISO事務局担当者のためのマニュアルとなり形骸化を招く恐れがある。

つまり、下記に説明する程度の知識が必要となるため、すべての人に理解してもらうようになるには少し時間が必要でしょう。


最初に、ISO9001:2015とISO14001:2015の規格を書き写して、それぞれの要求項目の意図は何なのかについて、両者を比較しながら項目毎に説明しましょう。

   
   

4 組織の状況

5 リーダーシップ

6 計画

7 支援

8 運用

9 パフォーマンス評価

10 改善

                                                          


4.組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解

      ISO9001     

      ISO14001    

組織は、組織の目的及び戦略的な方向性に関連し、かつ、その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を明確にしなければならない。

組織は、これらの外部及び内部の課題に関する情報を監視しレビューしなければならない。

注記1
課題には、検討の対象となる好ましい要因又は状態、及び好ましくない要因又は状態が含まれ得る。
注記 2
外部の状況の理解は、国際、国内、地方又は地域を問わず、法令、技術、競争、市場、文化、社会及び経済の環境から生じる課題を検討することによって容易になり得る。
注記 3
内部の状況の理解は、組織の価値観、文化、知識及びパフォーマンスに関する課題を検討することによって容易になり得る。

組織は、組織の目的に関連し、かつ、その環境マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の 能力に影響を与える、外部及び内部の課題を決定しなければならない。こうした課題には、組織から影響を受ける又は組織に影響を与える可能性がある環境状態を含めなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【要求事項の理解】
4.1組織及びその状況の理解では、組織の外部及び内部の課題を明らかにするために、一般的にSWOT分析という手法が使われています。
品質マネジメントシステム4.1,4.2はシステムを構築するに当たり、先ず、組織が置かれている状況を理解し、4.3はその理解に基づき組織の品質マネジメントシステムの適用範囲を決定することを要求しています。
組織の目的及び戦略的な方向性について言及しているのは、組織の品質マネジメントシステムを組織の事業活動と乖離せず整合することを意図しています。尚、品質マネジメントシステムの意図した結果と、環境マネージメントシステムの意図した成果とは、それぞれ次のようなことになります。
<品質マネジメントシステムの意図した結果>
組織のよって異なるが、顧客要求事項及び法令・規制要求事項を満たした製品を一貫して提供できる能力の実証又は、適合の保証を通して顧客満足の向上をめざすそれぞれの組織自ら到達すべきとして決めた結果のこと。
この「意図した結果」は、5.1.1g)6.1.1に出てくるので関係者は共通の認識を持っておくことが必要です。

環境マネジメントシステムの内部外部の課題とは、組織の目的に関連しており、かつ意図した成果の達成に影響する課題をいっています。
<環境マネジメントシステムの意図した成果>
環境パフォーマンスの向上、順守義務を果たすこと、環境目標を達成することの三項目のことです。この「意図した成果」は、4.1,4.4,5.1,6.1.1,10.1に出てくるので関係者は共通の認識を持っておくことが必要です。

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4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解

      ISO9001           

       ISO14001               

次の事項は、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する組織の能力に影響又は潜在的影響を与えるため、組織はこれらを明確にしなければならない。

a)品質マネジメントシステムに密接に関連する利害関係者

b)品質マネジメントシステムに密接に関連するそれらの利害関係者の要求事項

組織はこれらの利害関係者及びその関連する要求事項に関する情報を監視し、レビューしなければならない。

組織は、次の事項を決定しなければならない。
a)環境マネジメントシステムに関連する利害関係者

b)それらの利害関係者の関連するニーズ及び期待(すなわち要求事項)

c)それらのニーズ及び期待のうち組織の順守義務となるもの

 

 

 

 

【要求事項の理解】
前項の4.1と同様4.2項も2015年版で追加された項目です。(品質・環境)但し、マネジメントシステム計画・設計段階で考慮する事項を示している。
品質マネジメントシステム、環境マネジメントシステムそれぞれに関連する利害関係者は誰かを明確にし、その利害関係者のニーズと期待を明確にすることが求められています。
1)品質のポイント
品質マネジメントシステムの意図した結果を達成するのには、どの利害関係者のニーズと期待を理解する必要があるかという観点から総括的に検討することが要求されています。
2)環境のポイント
順守義務は環境マネジメントの固有の要求事項として追記されています。6.1.3順守義務として別途要求されており、「組織の環境側面に関する」という言葉が追加されています。よって、4.2の順守義務とは「環境側面」に関するものより広く捉える必要があります。しかし、4.2では要求事項の詳細について決定する必要はなく、経営的な観点から組織の環境マネジメントシステムの意図する成果に影響するものも考慮した上で大枠を決定する必要があります。

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4.3 マネジメントシステムの適用範囲の決定 

      ISO9001          

      ISO14001               

4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
組織は品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるために、その境界及び適用可能性を決定しなければならない。この適用範囲を決定するとき、組織は次の事項を考慮しなければならない。

a) 4.1に規定する外部及び内部の課題

b) 4.2に規定する密接に関連する利害関係者の要求事項

c) 組織の製品及びサービス

決定した品質マネジメントシステムの適用範囲内でこの規格の要求事項が適用可能ならば、組織はこれらを全て適用しなければならない。

組織の品質マネジメントシステムの適用範囲は、文書化した情報として利用可能な状態にし維持しなければならない。適用範囲では、対象となる製品及びサービスの種類を明確に記載し組織が自らの品質マネジメントシステムの適用範囲への適用が不可能であることを決定したこの規格の要求事項全てについて、その正当性を示さなければならない。

適用不可能なことを決定した要求事項が、組織の製品及びサービスの適合並びに顧客満足の向上を確実にする組織の能力又は責任に影響を及ぼさない場合に限りこの規格への適合を表明してよい。

4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の決定

組織は環境マネジメントシステムの適用範囲を定めるために、その境界及び適用可能性を決定しなければならない。

この適用範囲を決定するとき、組織は次の事項を考慮しなければならない。

a) 4.1に規定する外部及び内部の課題

b) 4.2に規定する順守義務

c)組織の単位、機能及び物理的境界

d)組織の活動、製品及びサービス

e)管理し影響を及ぼす組織の権限及び能力
適用範囲が定まれば、その適用範囲の中にある組織の全ての活動、製品及びサービスは、環境マネジメントシステムに含まれている必要がある。

環境マネジメントシステムの適用範囲は、文書化した情報として維持しなければならず、かつ利害関係者がこれを入手できるようにしなければならない。

 

 

 

 

 

 

【要求事項の理解】
附属書SLでは「組織の品質マネジメントシステムの適用範囲は、文書化した情報として利用可能な状態にしておく」となっていますが、環境では環境マネジメントシステムの適用範囲は、文書化した情報として維持しなければならず、かつ、利害関係者が入手できるようにしなければならない」となっています。
2015年版では文書類と記録を次のように使い分けている。                 ①文書類:文書化した情報を維持しなければならない。                ②記録:文書化した情報を保持しなければならない。
品質は組織における製造又はサービスの結果である製品が対象ですので、この製品を実現するために必要なプロセスが適用範囲となりますが、組織の課題と関連する利害関係者のニーズや期待に応えるために、組織のどこまでをこの規格に従って管理する必要があるということから適用範囲は論理的に決まってくる。
また、環境の場合は原則として組織のすべてが対象となります。

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4.4 マネジメントシステム及びそのプロセス 

      ISO9001          

      ISO14001               

4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス

4.4.1組織はこの規格の要求事項に従って、必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む品質マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、かつ継続的に改善しなければならない。

組織は、品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織全体にわたる適用を決定しなければならない。また、次の事項を実施しなければならない。

a)これらのプロセスに必要なインプット、及びこれらのプロセスから期待されるアウトプットを明確にする。

b)これらのプロセスの順序及び相互作用を明確にする。

c)これらのプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断基準及び方法(監視、測定及び関連するパフォーマンス指標を含む。)を決定し、適用する。

d)これらのプロセスに必要な資源を明確にし、及びそれが利用できることを確実にする。

e)これらのプロセスに関する責任及び権限を割り当てる。

f)6.1の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。

g)これらのプロセスを評価し、これらのプロセスの意図した結果の達成を確実にするために必要な変更を実施する。

h)これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。

 

4.4.2組織は必要な程度まで、次の事項を行わなければならない。

a)プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持する。

b)プロセスが計画どおりに実施されたと確信するための文書化した情報を保持する。

4.4環境マネジメントシステム

環境パフォーマンスの向上を含む意図した成果を達成するため、組織は

この規格の要求事項に従って、必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む、環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、かつ継続的に改善しなければならない。

環境マネジメントシステムを確立し維持するとき、組織は4.1 及び 4.2 で得た知識を考慮しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【要求事項の理解】

c)のパフォーマンスの指標とは、プロセスの活動が計画どおり進んでいるかを把握するためのパフォーマンスの指標です。つまり、設定したパフォーマンスの指標に照らしてチェックしていれば、プロセスの状況がわかり、問題があればすぐに手を打ち、プロセスが意図した結果だせないという状況を未然に防ぐことができる指標をいいます。

プロセス
品質においては、製造プロセスにしたがって製品ができあがりますが、環境においては対象とする環境側面はこれらのプロセスの活動によってもたらされる環境影響であるという違いはあります。2004年版(4.4.6運用管理)で要求されていた手順からプロセスへ変わった。
JISQ9000の 定義によれば、プロセスとは「インプットを使用して意図した結果を生み出す、相互に関連する又は相互に作用する一連の活動」ですので、非常に細分化した工程の一つとしてカバーのネジ締め工程を考えれば、インプットはネジを締める前の仕掛品でアウトプットはカバーが取り付けられたワークになります。この場合のPDCAは、Pが作業手順書で、Dがものづくりで、Cが検査・確認で、Aが作業改善にあたるのではないでしょうか、PDCAは何が正解ということはないと思いますが事例としてこのようなことが言えます。

プロセスアプローチ・・・適用向上は2015年版改正の目的のひとつ
プロセスアプローチのアプローチという言葉には、「接近、取り組み」という意味があります。そしてプロセスアプローチとは、「プロセスを基礎とした規格への取り組み」という意味であり、プロセスをシステムとして組織の中で運用することによって規格の要求事項を満足させるというものです。

プロセスアプローチとは「組織内において、プロセスを明確にし、その相互関係を把握し、運営管理することと合わせて一連のプロセスをシステムとして適用すること。」と定義しています。システムとは「仕組み」や「組織」のことですから、一連のプロセスを仕組みとして適用することと言えます。つまり、「プロセスを明確にし、その相互関係を把握し、 運営管理することと合わせて、一連のプロセスをシステムとして適用すること。」という意味です。

例えば二つのプロセス、技術と製造を考えた時、技術は図面や仕様書を製造に引き継ぎます。そして、製造では引き継いだ図面に基づき製品を作ります。このように2つのプロセスは、相互に関連していると言えます。この相互関係を一つの仕組みとして構築して運用しなさいと言うことになります。 つまり、プロセスアプローチは、「組織の活動を把握する方法論」であると言えます。
一方、ISO9001規格はPDCAの考え方が適用されている、これが全体のPDCAに相当するものと思います。細かくは、工程の一つひとつについてプロセスを定義することは通常はないと思います。一般的には、購買プロセスとか設計プロセスなどの大きさで効率的に設定されるでしょう。そして、規格でいうところの運営管理とは、このPDCAサイクルを回して継続的改善を図ることを指しています。
プロセスアプローチの考えでは、このサイクルを、それぞれのプロセスと全体としてのシステムの両方に適用する。各業務をそれぞれプロセスとして明確にしPDCAで運営管理することで業務の目的を効率的に達成することができ、それぞれのプロセスを相互に結びつけてプロセスのネットワークを構成させ、それを「プロセスのシステム(プロセスの仕組み)」ということにしてPDCAで運営しましょうということです。システムとしてPDCAで運営管理することによって、組織の目的を効果的、効率的に達成することができる。これがプロセスアプローチの考え方です。
4.4.2では文書化した情報が要求されています。その範囲は、上記のa)h)こを実施する中で必要であると決めたものと、4.4.2項以降で個別に要求される文書化が対象となる。尚、2015年版では文書と記録を以下のように使い分けている。
文書:文書化した情報を維持しなければならない。
記録:文書化した情報を保持しなければならない。

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5.リーダーシップ
5.1 リーダーシップ及びコミットメント

                ISO9001          

                 ISO14001               

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

5.1.1 一般

トップマネジメントは、次に示す事項によって、品質マネジメントシステムに関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。

a)品質マネジメントシステムの有効性に説明責任(accountability)を負う。

b)品質マネジメントシステムに関する品質方針及び品質目標を確立し、それらが組織の状況及び戦略的な方向性と両立することを確実にする。

c)組織の事業プロセスへの品質マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする。

d)プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進する。

e)品質マネジメントシステムに必要な資源が利用可能であることを確実にする。

f)有効な品質マネジメント及び品質マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達する。

g)品質マネジメントシステムがその意図した結果を達成することを確実にする。

h)品質マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を積極的に参加させ,指揮し、支援する。

i)改善を促進する。

j)その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう、管理層の役割を支援する。

注記
この規格で“事業”という場合,それは,組織が公的か私的か,営利か非営利かを問わず、組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解釈され得る。

5.1リーダーシップ及びコミットメント

トップマネジメントは、次に示す事項によって、環境マネジメントシステムに関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。
a)環境マネジメントシステムの有効性に説明責任を負う。

b)環境方針及び環境目標を確立し、それらが組織の戦略的な方向性及び組織の状況と両立することを確実にする。

c)組織の事業プロセスへの環境マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする。

d)環境マネジメントシステムに必要な資源が利用可能であることを確実にする。

e)有効な環境マネジメント及び環境マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達する。

f)環境マネジメントシステムがその意図した成果を達成することを確実にする。

g)環境マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を指揮し、支援する。

h)継続的改善を促進する。

i)その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう、管理層の役割を支援する。


注記
この規格で“事業”という場合,それは,組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解釈され得る。

 

 

 

【要求事項の理解】
a)
説明責任は経営者自ら実施しなくてはならず、責任は委譲できない。しかし、b)c)e)g)確実にするということは責任を委譲できるが、最終的な責任と説明責任についてはa)と同じように他社に委任できない。
a)の有効性とは「計画した活動を実行し、計画した結果を達成した程度」と規定されていることより、品質においては品質マネジメントシステムで何を計画し、その結果がどうなっているのかについて説明を求められます。これには意図した品質目標の結果や顧客満足の向上などの達成状況や未達に対する対応策などについて説明が必要です(4.1)

c)「組織の事業プロセスへのマネージメントシステム要求事項の統合」とは、日常の事業活動(事業プロセス)にマネージメントシステムの要求事項を組み込んで一体化したシステムのことであり、形式的であったりダブルスタンダードでないことは言うまでもありません。
一方、環境の有効性においては少なくとも環境方針(5.2)でコミットした3項目が該当する。すなはち、「環境汚染及びその他の環境問題への対処」「順守義務を果たすこと」「環境マネジメントシステムの継続的改善」である。
品質のf)は「有効な品質マネジメントの重要性」と「有効な品質マネジメントシステム適合の重要性」の二つに分けて考える。
ISO9001:2015には、プロセスアプローチ、PDCA、リスクに基づく考え方の基本概念があることも押さえておく必要があります。

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5.1.2 顧客重視

                   ISO9001           

                  ISO14001               

5.1.2 顧客重視

トップマネジメントは、次の事項を確実にすることによって、顧客重視に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。

a)顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を明確にし、理解し、一貫してそれを満たしている。

b)製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力に影響を与え得る、リスク及び機会を決定し、取り組んでいる。

c)顧客満足向上の重視が維持されている 

 

【要求事項の理解】
上記のa)c)1.適用範囲のa)b)に対応しており顧客重視を更に協調するものであり顧客満足向上の重視の維持に、b)は6.1で決定されたリスク及び機会の決定と取組みに対するものであり、これらについてトップマネジメントのリーダーシップとコミットメントの実証が要求されている。

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5.2 方針

                   ISO9001          

                   ISO14001               

5.2 方針

5.2.1 品質方針の確立

トップマネジメントは、次の事項を満たす品質方針を確立し、実施し、維持しなければならない。

a)組織の目的及び状況に対して適切であり、組織の戦略的な方向性を支援する。

b)品質目標の設定のための枠組みを与える。

c)適用される要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。

d)品質マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。

 

5.2.2 品質方針の伝達

品質方針は、次に示す事項を満たさなければならない。

a)文書化した情報として利用可能な状態にされ、維持される。

b)組織内に伝達され、理解され、適用される。

c)必要に応じて、密接に関連する利害関係者が入手可能である。

 

 

 

5.2 環境方針

トップマネジメントは、組織の環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で、次の事項を満たす環境方針を確立し、実施し、維持しなければならない。

a)組織の目的、並びに組織の活動、製品及びサービスの性質、規模及び環境影響を含む組織の状況に対して適切である。

b)環境目標の設定のための枠組みを示す。

c)汚染の予防、及び組織の状況に関連するその他の固有なコミットメントを含む、環境保護に対するコミットメントを含む。

注記
環境保護に対するその他の固有なコミットメントには、持続可能な資源の利用、気候変動の緩和及び気候変動への適応、並びに生物多様性及び生態系の保護を含み得る。

d)組織の順守義務を満たすことへのコミットメントを含む。

e)環境パフォーマンスを向上させるための環境マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。

環境方針は、次に示す事項を満たさなければならない。

− 文書化した情報として維持する。

− 組織内に伝達する。

− 利害関係者が入手可能である。

【要求事項の理解】
5.2.1品質方針の確立
a)組織の目的及び状況に対して適切であり、組織の戦略的な方向性を支援する。では、状況や戦略的な方向性が一致する品質方針の確立が要求されている。これは4.1組織及びその状況の理解に対応するものです。
5.2.2 品質方針の伝達c)は追加された要求事項。
環境法令順守の徹底については、2004年版では5箇所の条項であったが、2015年版では14箇所の条項になっている。
2004年版:4.2,4.3.2,4.3.3,4.5.2,4.6
2015年版:4.2,4.3,5.2,6.1.1,6.1.3,6.1.4,6.2.1,7.2,7.3,7.4.1,7.4.3,7.5.1,9.1.2,9.3

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5.3 組織の役割、責任及び権限

      ISO9001          

     ISO14001               

5.3 組織の役割、責任及び権限

トップマネジメントは、関連する役割に対して、責任及び権限が割り当てられ、組織内に伝達され、理解されることを確実にしなければならない。

トップマネジメントは、次の事項に対して、責任及び権限を割り当てなければならない。

a)品質マネジメントシステムが、この規格の要求事項に適合することを確実にする。

b)プロセスが、意図したアウトプットを生み出すことを確実にする。

c)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び改善(10.1 参照)の機会を特にトップマネジメントに報告する。

d)組織全体にわたって、顧客重視を促進することを確実にする。

e)品質マネジメントシステムへの変更を計画し、実施する場合には、品質マネジメントシステムを“完全に整っている状態”(integrity)に維持することを確実にする。

5.3 組織の役割、責任及び権限

トップマネジメントは、関連する役割に対して、責任及び権限が割り当てられ、組織内に伝達されることを確実にしなければならない。

トップマネジメントは、次の事項に対して、責任及び権限を割り当てなければならない。

a)環境マネジメントシステムが、この規格の要求事項に適合することを確実にする。

b)環境パフォーマンスを含む環境マネジメントシステムのパフォーマンスをトップマネジメントに報告する。

 

 

 

 

 

 

 

 

【要求事項の理解】
2008年版では、5.5.1責任及び権限5.5.2管理責任者の二つの要求があったが、2015年版では管理責任者の要求がなくなった。管理責任者の設定は要求されていないが、同等の責任と権限を、しかるべき人に割り当てることが求められている。

環境マネジメントシステムの2004年版では、改善のための提案を含めた報告義務が規定されていたが、2015年版では環境パフォーマンスの報告義務だけになった。これは、7.4.2への規定と10改善の拡充が理由として挙げられる。

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6.計画

6.1 リスク及び機会への取組み

                  ISO9001          

                   ISO14001               

6.1.1 品質マネジメントシステムの計画を策定するとき、組織は4.1 に規定する課題及び 4.2 に規定する要求事項を考慮し、次の事項のために取り組む必要があるリスク及び機会を決定しなければならない。

a)品質マネジメントシステムが、その意図した結果を達成できるという確信を与える。

b)望ましい影響を増大する。

c)望ましくない影響を防止又は低減する。

d)改善を達成する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6.1.1 一般
組織は、6.1.16.1.4 に規定する要求事項を満たすために必要なプロセスを確立し、実施し、維持しなければならない。

環境マネジメントシステムの計画を策定するとき、組織は次の a)c)を考慮し、

a) 4.1に規定する課題

b) 4.2に規定する要求事項

c)環境マネジメントシステムの適用範囲

次の事項のために取り組む必要がある、環境側面(6.1.2 参照)、順守義務(6.1.3 参照)、並びに 4.1 及び4.2で特定したその他の課題及び要求事項に関連するリスク及び機会を決定しなけれならない。

-環境マネジメントシステムが、その意図した成果を達成できるという確信をあたえる

-外部の環境状態が組織に影響を与える可能性を含め、望ましくない影響を防止、又は低減する

-継続的改善を達成する

組織は、環境マネジメントシステムの適用範囲の中で、環境影響を与える可能性のあるものを含め、潜在的緊急事態を決定しなければならない。

組織は、次に関する文書化した情報を維持しなければならない。

− 取り組む必要があるリスク及び機会

6.1.1∼6.1.4 で必要なプロセスが計画どおりに実施されるという確信をもつために必要な程度の、それらのプロセス

 【要求事項の理解】
予防処置の考え方が含まれています。「計画」の要求事項であるが、品質マネジメントシステムの計画を策定する時、とあるように、この要求事項はシステムの計画段階での要求事項である。想定されるリスク及び機会を決定し、それに対する取組みを品質マネジメントシステムに組み込んでおくことが要求されている。
具体的には
a)品質マネジメントシステムの意図した結果(4.1)が展開されている品質目標の達成
b)活動の効率化や技術の向上
c)苦情や不適合製品の発生の低減
d)製品やサービス及びシステムの有効性を改善する
という観点で示されている取組み事項に対するリスクを明らかにする。

環境マネジメントシステムにおけるリスク及び機会は、境」そのもののリスク及び機会ではなく、組織と環境マネジメントシステムへの影響に対するものであることに注意が必要であるが、正式なリスクマネジメントプロセスは要求しておらず、組織に委ねられている。
環境におけるリスク及び機会の発生源は、「環境側面」「順守義務」「4.1及び4.2で決定されたその他の課題及び要求事項」の三つ。また、意図した成果については4.1項を参照する。
緊急事態の対象は、「環境マネジメントシステムの適用範囲の中で」と記載されているように、あくまでも環境マネジメントシステムで対処すべき緊急事態に限定して決める。また、環境の最後の部分の「プロセスが計画どおりに実施されるという確信をもつために必要な程度の文書化した情報」は、8.1運用の計画及び管理に由来する
ものです。又、必要な程度の文書化とは、文書化する情報がまったく必要ないということは想定していない。
同様の表現の要求は、6.1 リスク及び機会への取組み 6.1.1一般8.1運用の計画及び管理8.2緊急事態への準備及び対応の三箇所にある。

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6.1.2 

                  ISO9001          

       ISO14001               

6.1.2 組織は、次の事項を計画しなければならない。

a)上記によって決定したリスク及び機会への取組み

b)次の事項を行う方法

1)その取組みの品質マネジメントシステムプロセスへの統合及び実施(4.4 参照)

2)その取組みの有効性の評価

リスク及び機会への取組みは、製品及びサービスの適合への潜在的な影響と見合ったものでなければならない。

注記 1
リスクへの取組みの選択肢には、リスクを回避すること、ある機会を追求するためにそのリスクを取ること、リスク源を除去すること、起こりやすさ若しくは結果を変えること、リスクを共有すること、又は情報に基づいた意思決定によってリスクを保有することが含まれ得る。

注記 2
機会は、新たな慣行の採用、新製品の発売、新市場の開拓、新たな顧客への取組み、パートナーシップの構築、新たな技術の使用、及び組織のニーズ又は顧客のニーズに取り組むためのその他の望ましくかつ実行可能な可能性につながり得る。

 

 

 

6.1.2 環境側面
組織は環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で、ライフサイクルの視点を考慮し、組織の活動,製品及びサービスについて、組織が管理できる環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる

環境側面、並びにそれらに伴う環境影響を決定しなければならない。

環境側面を決定するとき、組織は、次の事項を考慮に入れなければならない。

a)変更。これには、計画した又は新規の開発、並びに新規の又は変更された活動、製品及びサービスを含む
b)非通常の状況及び合理的に予見できる緊急事態

組織は、設定した基準を用いて、著しい環境影響を与える又は与える可能性のある側面(すなわち、著しい環境側面)を決定しなければならない。

組織は、必要に応じて、組織の種々の階層及び機能において、著しい環境側面を伝達しなければならない。

組織は、次に関する文書化した情報を維持しなければならない。

− 環境側面及びそれに伴う環境影響

− 著しい環境側面を決定するために用いた基準

− 著しい環境側面

注記 著しい環境側面は、有害な環境影響(脅威)又は有益な環境影響(機会)に関連するリスク及び機会をもたらし得る。

【要求事項の理解】
品質
においては、リスク及び機会への取組み、その取組みを品質マネジメントシステムプロセスへ展開する方法、取組みの有効性の評価を計画することが要求されている。これらは、組織の目的及び戦略的方向性に関連する戦略レベルの計画となっている。計画した方法による評価は、9.1.3分析及び評価9.3マネジメントレビューで実施されPDCAが回る。
環境においては、6.1リスク及び機会への取組み6.1.1一般の次は、環境固有の要求事項の6.1.2環境側面となっています。2004年版では環境側面の特定は要求されているが、それに伴う環境影響は要求されていなかった。2015年版6.1.2環境側面では環境側面並びにそれに伴う環境影響の決定が一体として求められている。
文書化した情報を維持しなければならないの「維持」には、最新のものにしておくという意味がある。

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6.1.3 順守義務

      ISO9001          

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6.1.3 順守義務

組織は,次の事項を行わなければならない。

a)組織の環境側面に関する順守義務を決定し,参照する。

b)これらの順守義務を組織にどのように適用するかを決定する。

c)環境マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,継続的に改善するときに,これらの順守義務を考慮に入れる。

組織は,順守義務に関する文書化した情報を維持しなければならない。

注記
順守義務は,組織に対するリスク及び機会をもたらし得る。

【要求事項の理解】
「順守義務」は2015年版で新しく出てきた言葉ですが、内容は2004年版と大きな違いはありません。順守義務をどのように対応するのかを示す必要があります。適用する法令にどのように対応するのかということを具体的な証拠が必要です。
6.1.3順守義務と関連する要求項目として、7.4コミュニケーション、7.4.1コミュニケーションプロセスの計画、7.4.3外部コミュニケーションプロセスがある。

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6.1.4 取組みの計画策定 

      ISO9001

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6.1.4 取組みの計画策定

組織は、次の事項を計画しなければならない。

a)次の事項への取組み

 1)著しい環境側面

 2)順守義務

 3) 6.1.1で特定したリスク及び機会

b)次の事項を行う方法
1)その取組みの環境マネジメントシステムプロセス(6.2,箇条 7,箇条 及び 9.1 参照)又は他の事業プロセスへの統合及び実施

2)その取組みの有効性の評価(9.1 参照)

これらの取組みを計画するとき、組織は、技術上の選択肢、並びに財務上、運用上及び事業上の要求事項を考慮しなければならない。

【要求事項の理解】
取組みの計画について、6.1.1のリスク及び機会、6.1.2著しい環境側面、6.1.3順守義務の三つの課題に対して取組み計画を作るよう要求されています。
取組みの方法としては、環境マネジメントシステムのプロセスで実施するのか、
6.2品質目標及びそれを達成するための計画策定、7支援、8運用、9.1監視、測定、分析及び評価参照)又は他のプロセスへの統合や実施によって対応する。

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 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 

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6.2.1組織は、品質マネジメントシステムに必要な、関連する機能,階層及びプロセスにおいて、品質目標を確立しなければならない。

品質目標は、次の事項を満たさなければならない。

a)品質方針と整合している。

b)測定可能である。

c)適用される要求事項を考慮に入れる。

d)製品及びサービスの適合,並びに顧客満足の向上に関連している。

e)監視する。

f)伝達する。
g)必要に応じて、更新する。

組織は、品質目標に関する文書化した情報を維持しなければならない。


6.2.2 組織は、品質目標をどのように達成するかについて計画するとき、次の事項を決定しなければならない。

a)実施事項

b)必要な資源

c)責任者

d)実施事項の完了時期

e)結果の評価方法

 

 

 

 

 

 

 

6.2 環境目標及びそれを達成するための計画策定

6.2.1 環境目標

組織は、組織の著しい環境側面及び関連する順守義務を考慮に入れ、かつ、リスク及び機会を考慮し、関連する機能及び階層において、環境目標を確立しなければならない。

環境目標は、次の事項を満たさなければならない。

a)環境方針と整合している。

b)(実行可能な場合)測定可能である。

c)監視する。

d)伝達する。

e)必要に応じて、更新する。

組織は、環境目標に関する文書化した情報を維持しなければならない。


6.2.2 環境目標を達成するための取組みの計画策定
組織は,環境目標をどのように達成するかについて計画するとき,次の事項を決定しなければならない。

a)実施事項

b)必要な資源

c)責任者

d)達成期限

e)結果の評価方法。これには測定可能な環境目標の達成に向けた進捗を監視するための指標を含む(9.1.1 参照)。

組織は、環境目標を達成するための取組みを組織の事業プロセスにどのように統合するかについて、考慮しなければならない。

【要求事項の理解】

品質においては、機能、階層に加えてプロセスが追加されています。2008年版より更にプロセスアプローチが要求されているといえます。
環境においては、環境目的と環境目標の2段構えであったが、環境目標に統一されています。
「著しい環境側面」「順守義務」・・・考慮に入れる。→(除外できない)
「リスク及び機会」・・・考慮する。→(除外できる)

「指標」とは、運用、マネジメント又は条件の、状態又は状況の測定可能な表現と定義されている。使用を示しただけでは評価できないので基準も示す必要がある。
達成されているかどうかが分からないようなものは、環境目標とはいえない。

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6.3変更の管理 

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6.3 変更の計画
組織が品質マネジメントシステムの変更の必要性を決定したとき、その変更は、計画的な方法で行わなければならない(4.4 参照)。

組織は、次の事項を考慮しなければならない。

a)変更の目的、及びそれによって起こり得る結果

b)品質マネジメントシステムの“完全に整っている状態”(integrity)

c)資源の利用可能性

d)責任及び権限の割当て又は再割当て

 

【要求事項の理解】
6.2と同様に主語が、トップマネジメントから組織に変わった。これは、責任及び権限をしかるべき人に割り当てることが要求されている。
次の変更管理は、変更によって顧客に迷惑をかけずに計画的に問題なく移行できるようにすることです。
6.3変更の計画
は、システムレベル
8.1運用の計画及び管理は、製品及びサービスを提供する運用レベル
8.2.4製品及びサービスに関する要求事項の変更は、要求事項に関するもの
8.3.6設計開発の変更は、設計開発に関するもの 
8.5.6変更の管理は、製造及びサービス提供レベル
での変更管理が対象になります。

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7.支援
7.1 資源

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7.1 資源
7.1.1 一般
組織は、品質マネジメントシステムの確立、実施、維持及び継続的改善に必要な資源を明確にし、提供しなければならない。

組織は、次の事項を考慮しなければならない。

a)既存の内部資源の実現能力及び制約
b)外部提供者から取得する必要があるもの

 

7.1.2 人々
組織は、品質マネジメントシステムの効果的な実施、並びにそのプロセスの運用及び管理のために必要な人々を明確にし、提供しなければならない。

 

7.1.3 インフラストラクチャ
組織は、プロセスの運用に必要なインフラストラクチャ、並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要なインフラストラクチャを明確にし、提供し、維持しなければならない。

注記 インフラストラクチャには、次の事項が含まれ得る。

a)建物及び関連するユーティリティ
b)設備。これにはハードウェア及びソフトウェアを含む。
c)輸送のための資源
d)情報通信技術


7.1.4 プロセスの運用に関する環境

組織は、プロセスの運用に必要な環境、並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な環境を明確にし、提供し、維持しなければならない。

注記
適切な環境は,次のような人的及び物理的要因の組合せであり得る。

a)社会的要因(例えば,非差別的,平穏,非対立的)

b)心理的要因(例えば,ストレス軽減,燃え尽き症候群防止、心のケア)

c)物理的要因(例えば,気温,熱,湿度,光,気流,衛生状態,騒音)

これらの要因は、提供する製品及びサービスによって、大いに異なり得る。

 

7.1.5 監視及び測定のための資源

7.1.5.1 一般

要求事項に対する製品及びサービスの適合を検証するために監視又は測定を用いる場合、組織は結果が妥当で信頼できるものであることを確実にするために必要な資源を明確にし提供しなければならない。

組織は用意した資源が次の事項を満たすことを確実にしなければならない。

a)実施する特定の種類の監視及び測定活動に対して適切である。

b)その目的に継続して合致することを確実にするために維持されている。

組織は監視及び測定のための資源が目的と合致している証拠として、適切な文書化した情報を保持しなければならない。

 

7.1.5.2 測定のトレーサビリティ

測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合、又は組織がそれを測定結果の妥当性に信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には、測定機器は次の事項を満たさなければならない。

a)定められた間隔で又は使用前に、国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証、又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない場合には、校正又は検証に用いたよりどころを文書化した情報として保持する。

b)それらの状態を明確にするために識別を行う。

c)校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整,損傷又は劣化から保護する。

測定機器が意図した目的に適していないことが判明した場合,組織は,それまでに測定した結果の妥当性を損なうものであるか否かを明確にし、必要に応じて、適切な処置をとらなければならない。

 

7.1.6 組織の知識

組織は、プロセスの運用に必要な知識、並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識を明確にしなければならない。

この知識を維持し、必要な範囲で利用できる状態にしなければならない。

変化するニーズ及び傾向に取り組む場合、組織は、現在の知識を考慮し、必要な追加の知識及び要求される更新情報を得る方法又はそれらにアクセスする方法を決定しなければならない。

注記 1
組織の知識は、組織に固有な知識であり、それは一般的に経験によって得られる。それは、組織の目標を達成するために使用し、共有する情報である。

注記 2
組織の知識は、次の事項に基づいたものであり得る。

a)内部の知識源(例えば,知的財産,経験から得た知識、成功プロジェクト及び失敗から学んだ教訓、文書化していない知識及び経験の取得及び共有、プロセス、製品及びサービスにおける改善の結果)

b)外部の知識源(例えば,標準,学界,会議,顧客又は外部の提供者からの知識収集)

 

7.1 資源
組織は、環境マネジメントシステムの確立、実施、維持及び継続的改善に必要な資源を決定し、提供しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【要求事項の理解】

7.1.5では、サービス業に配慮して、機器という言葉を使わず資源を使っている。これには、チェックリストなども含まれている。更に、「目視検査」や「官能検査」もこの条項での管理対象である。
7.1.5.2a)は従来の工業製品に対する要求事項と同じである。製品の合否判定に使用する計測器、測定データが承認事項になっているような場合は7.1.5.2に従って管理されなければならないが、工程内で目安となるデータの測定に使用する測定器まで校正の対象にする必要はありません。
2008年度版のb)機器を調整する又は必要に応じて再調整するは、資源ではなく機器の管理を受けての処置であることより削除されている。更に、コンピュータソフトウェアについても、特別な条件のもとでの要求事項であり、汎用性のある本規格としては妥当でないという理由で削除されている。
7.1.6組織の知識として2種類の知識を要求しています。それは、「プロセスの運用に必要な知識」と「製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識」です。特に、過去の失敗事例や問題解決手法の検索手順や管理の方法と、新製品開発等における必要な知識を明確にする手順などを規定しておく。

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7.2 力量

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7.2 力量

組織は、次の事項を行わなければならない。

a)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。

b)適切な教育訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を備えていることを確実にする。

c)該当する場合には、必ず、必要な力量を身に付けるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する。

d)力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する。

注記
適用される処置には、例えば、現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供、指導の実施、配置転換の実施などがあり、また、力量を備えた人々の雇用、そうした人々との契約締結などもあり得る。

 

7.2 力量

組織は、次の事項を行わなければならない。

a)組織の環境パフォーマンスに影響を与える業務、及び順守義務を満たす組織の能力に影響を与える業務を組織の管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を決定する。

b)適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を備えていることを確実にする。

c)組織の環境側面及び環境マネジメントシステムに関する教育訓練のニーズを決定する。

d)該当する場合には、必ず、必要な力量を身に付けるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する。

注記
適用される処置には、例えば、現在雇用している人々に対する、教育訓練の提供、指導の実施、配置転換の実施などがあり、また、力量を備えた人々の雇用、そうした人々との契約締結などもあり得る。組織は、力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持しなければならない。

【要求事項の理解】
力量とは、業務に必要な知識があるのに加えて、それを使って実際に業務を遂行する能力を備えていることであり、まず組織が必要としている教育訓練を明確にしそれを体系的にまとめることが必要です。
力量とは、「意図した結果を達成するために知識及び技能を適用する能力」と定義されており、教育、訓練、経験の結果としての技能であると解釈する。
また、力量は一般に組織の人事考課体系とは異なる、なぜなら人事考課は、相対的評価であり、その根拠はオープンにされない、しかもコスト評価を伴なうものであるが、力量評価は絶対評価でありそのエビデンスが存在する

上記の要求事項には、力量表を作成しなさいという要求はありませんが、環境パフォーマンスに影響を与える業務や法規制の順守が必要な仕事についている人に必要な力量を決めなさいとあるので、力量表があればこれらの要求事項に対応できます。

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7.3 認識 

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7.3 認識

組織は、組織の管理下で働く人々が,次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。

a)品質方針

b)関連する品質目標

c)パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む、品質マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献

d)品質マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味

 

 

7.3 認識

組織は,組織の管理下で働く人々が、次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。

a) 環境方針

b) 自分の業務に関係する著しい環境側面及びそれに伴う顕在する又は潜在的な環境影響

c) 環境パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む、環境マネジメントシステムの有効性に対す る自らの貢献

d) 組織の順守義務を満たさないことを含む、環境マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味

 【要求事項の理解】
組織の管理下で働く人々とは、社員、契約により派遣された社員、外部委託したプロセスに関わっている人など、組織の管理下で働いている人々を指す。
品質の四つの認識は以下の関連する他の条項と関連付けて理解することができる。
a)品質方針・・5.2.2b)
b)関連する品質目標・・6.2,6.2.1f)
c)パフォーマンスの向上・・5.1.1h)
d)品質マネジメントシステムの要求事項・・5.1.1f)

「・・・確実にしなければならない。」とあるのは、組織の責任で認識を持たせなければならないということを示しています。
組織の環境法規類の順守義務に関連して、組織内の全員が一律にこれらの全ての法規類について一律に認識する必要はないということは明らかである。

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7.4 コミュニケーション 

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7.4 コミュニケーション

組織は、次の事項を含む,品質マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュニケーションを決定しなければならない。

a) コミュニケーションの内容

b) コミュニケーションの実施時期

c) コミュニケーションの対象者

d) コミュニケーションの方法

e)コミュニケーションを行う人 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7.4コミュニケーション

7.4.1一般

組織は,次の事項を含む、環境マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュニケーションに必要なプロセスを確立し、実施し、維持しなければならない。

a)コミュニケーションの内容

b)コミュニケーションの実施時期

c)コミュニケーションの対象者

d)コミュニケーションの方法

コミュニケーションプロセスを確立するとき、組織は、次の事項を行わなければならない。
順守義務を考慮に入れる

− 伝達される環境情報が、環境マネジメントシステムにおいて作成される情報と整合し、信頼性があることを確実にする。

組織は,環境マネジメントシステムについての関連するコミュニケーションに対応しなければならない。

組織は、必要に応じて、コミュニケーションの証拠として、文書化した情報を保持しなければならない。

7.4.2内部コミュニケーション

組織は、次の事項を行わなければならない。

a)必要に応じて、環境マネジメントシステムの変更を含め、環境マネジメントシステムに関連する情報について、組織の種々の階層及び機能間で内部コミュニケーションを行う。

b)コミュニケーションプロセスが、組織の管理下で働く人々の継続的改善への寄与を可能にすることを確実にする。

7.4.3外部コミュニケーション

組織は、コミュニケーションプロセスによって確立したとおりに、かつ、,順守義務による要求に従って、環境マネジメントシステムに関連する情報について外部コミュニケーションを行わなければならない。

【要求事項の理解】
品質のコミュニケーションに関わる要求されている条項、
5.1.1 f)・・品質マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達する。
5.2.2b) ・・・品質方針は組織内に伝達され
5.3 ・・・責任及び権限が割り当てられ、組織内に伝達され
6.2.1 f) ・・品質目標を伝達する
8.2.1 ・・顧客とのコミュニケーションには、次の事項を含めなければならない
8.4.3 ・・・外部提供者に伝達しなければならない
5.3 ・・・パフォーマンス及び改善の機会をトップマネジメントに報告する
8.5.3 ・・・外部提供者に報告し、
9.2.2 d) ・・・管理層報告することを

環境においては、コミュニケーションプロセスの確立と、その際に、順守義務を考慮することが要求されている。環境のコミュニケーションに関わる内容が要求されている条項は、4.3,5.1,5.2,5.3,6.1.2,6.2.1,8.1,8.2,9.1 9.1.1,9.2 9.2.2,9.3の11箇所に記載がある。

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7.5 文書化した情報 

      ISO9001          

      ISO14001               

7.5.1 一般
組織の品質マネジメントシステムは、次の事項を含まなければならない。

a)この規格が要求する文書化した情報

b)品質マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した、文書化した情報

注記 品質マネジメントシステムのための文書化した情報の程度は、次のような理由によって、それぞれの組織で異なる場合がある。

− 組織の規模,並びに活動、プロセス、製品及びサービスの種類

− プロセス及びその相互作用の複雑さ

− 人々の力量

 

7.5.2 作成及び更新

文書化した情報を作成及び更新する際、組織は、次の事項を確実にしなければならない。

a)適切な識別及び記述(例えば、タイトル,日付,作成者,参照番号)

b)適切な形式(例えば、言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)

c)適切性及び妥当性に関する、適切なレビュー及び承認

 

7.5.3 文書化した情報の管理

7.5.3.1品質マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は、次の事項を確実にするために、管理しなければならない。

a)文書化した情報が、必要なときに、必要なところで、入手可能かつ利用に適した状態である。

b)文書化した情報が十分に保護されている(例えば、機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失からの保護)。

7.5.3.2文書化した情報の管理に当たって、組織は、該当する場合には、必ず、次の行動に取り組まなければならない。

a)配付、アクセス、検索及び利用

b)読みやすさが保たれることを含む、保管及び保存

c)変更の管理(例えば、版の管理)

d)保持及び廃棄

品質マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化した情報は、必要に応じて識別し、管理しなければならない。

適合の証拠として保持する文書化した情報は、意図しない改変から保護しなければならない。

注記
アクセスとは、文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定、又は文書化した情報の閲覧及び変更の許可及び権限に関する決定を意味し得る。

7.5.1 一般
組織の環境マネジメントシステムは、次の事項を含まなければならない。

a)この規格が要求する文書化した情報

b)環境マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した、文書化した情報

注記 環境マネジメントシステムのための文書化した情報の程度は、次のような理由によって、それぞれの組織で異なる場合がある。

− 組織の規模、並びに活動、プロセス、製品及びサービスの種類

− 順守義務を満たしていることを実証する必要性

− プロセス及びその相互作用の複雑さ

− 組織の管理下で働く人々の力量

 

7.5.2 作成及び更新

文書化した情報を作成及び更新する際、組織は、次の事項を確実にしなければならない。

a)適切な識別及び記述(例えば、タイトル,日付,作成者,参照番号)

b)適切な形式(例えば、言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)

c)適切性及び妥当性に関する、適切なレビュー及び承認

 

7.5.3 文書化した情報の管理

環境マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は、次の事項を確実にするた

めに、管理しなければならない。

a)文書化した情報が、必要なときに、必要なところで、入手可能かつ利用に適した状態である。

b)文書化した情報が十分に保護されている(例えば、機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失からの保護)。

文書化した情報の管理に当たって、組織は、該当する場合には、必ず、次の行動に取り組まなければならない。

− 配付、アクセス、検索及び利用

− 読みやすさが保たれることを含む、保管及び保存

− 変更の管理(例えば,版の管理)

− 保持及び廃棄

環境マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化した情報は、必要に応じて識別し、管理しなければならない。
注記
アクセスとは、文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定、又は文書化した情報の閲覧及び変更の許可及び権限に関する決定を意味し得る。



【要求事項の理解】
2015年版では「品質マニュアル」の作成の要求事項はなくなった。これにより、品質環境ともマニュアル作成の要求はなくなったが、マネジメントシステムの有効性のために組織が必要と決めたのであれば従来どおり維持して問題ありません。
2015年版では文書類と記録を次のように使い分けている。                 ①文書類:文書化した情報を維持しなければならない。                ②記録:文書化した情報を保持しなければならない。

品質で要求されている文書は、4.3適用範囲 4.4.2a)プロセスの運用を支援する文書 5.2.2a)品質方針 6.2.1品質目標に関する情報 8.1e)製品及びサービスの要求事項への適合を実証する情報

環境で要求されている文書は、4.3適用範囲 5.2環境方針 6.1リスク及び機会への取組み6.1.1一般 6.1.2環境側面 6.1.3順守義務 6.2環境目標及びそれを達成するための計画策定6.2.1環境目標 7.2力量(記録) 7.4コミュニケーションの7.4.1一般(記録) 7.5文書化した情報の7.5.1一般 8.1運用の計画及び管理 8.2緊急事態への準備及び対応 9.1監視、測定、分析及び評価の 9.1.1一般(記録) 9.1.2順守評価(記録) 9.2内部監査 プログラム(記録)9.3マネジメントレビュー(記録) 10.2不適合及び是正処置(記録) 

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8.運用
8.1運用の計画及び管理

    ISO9001:2015         

    ISO14001:2015               

8.1 運用の計画及び管理

組織は、次に示す事項の実施によって製品及びサービスの提供に関する要求事項を満たすため、並びに箇条で決定した取組みを実施するために必要なプロセスを、計画し、実施し、かつ、管理しなければならない(4.4 参照)。

a)製品及びサービスに関する要求事項の明確化

b)次の事項に関する基準の設定

   1)プロセス

   2)製品及びサービスの合否判定

c)製品及びサービスの要求事項への適合を達成するために必要な資源の明確化

d) b)の基準に従ったプロセスの管理の実施

e)次の目的のために必要な程度の文書化した情報の明確化、維持及び保持

1)プロセスが計画どおりに実施されたという確信をもつ。

2)製品及びサービスの要求事項への適合を実証する。

この計画のアウトプットは,組織の運用に適したものでなければならない。

組織は、計画した変更を管理し,意図しない変更によって生じた結果をレビューし、必要に応じて有害な影響を軽減する処置をとらなければならない。

組織は、外部委託したプロセスが管理されていることを確実にしなければならない(8.4 参照)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.1 運用の計画及び管理

組織は、次に示す事項の実施によって、環境マネジメントシステム要求事項を満たすため、並びに 6.1及び 6.2 で特定した取組みを実施するために必要なプロセスを確立し、実施し、管理し、かつ、維持しなければならない。

プロセスに関する運用基準の設定

− その運用基準に従った、プロセスの管理の実施

注記
管理は、工学的な管理及び手順を含み得る。管理は、優先順位(例えば、除去,代替,管理的な対策)に従って実施されることもあり、また、個別に又は組み合わせて用いられることもある。

組織は,計画した変更を管理し、意図しない変更よって生じた結果をレビューし、必要に応じて、有害な影響を緩和する処置をとらなければならない。

組織は、外部委託したプロセスが管理されている又は影響を及ぼされていることを確実にしなければならない。これらのプロセスに適用される、管理する又は影響を及ぼす方式及び程度は、環境マネジメントシステムの中で定めなければならない。

ライフサイクルの視点に従って、組織は、次の事項を行わなければならない。

a)必要に応じて、ライフサイクルの各段階を考慮して、製品又はサービスの設計及び開発プロセスにおいて、環境上の要求事項が取り組まれていることを確実にするために、管理を確立する。

b)必要に応じて、製品及びサービスの調達に関する環境上の要求事項を決定する。

c)請負者を含む外部提供者に対して、関連する環境上の要求事項を伝達する。

d)製品及びサービスの輸送又は配送(提供)、使用、使用後の処理及び最終処分に伴う潜在的な著しい環境影響に関する情報を提供する必要性について考慮する。

組織は、プロセスが計画どおりに実施されたという確信をもつために必要な程度の、文書化した情報を維持しなければならない。

【要求事項の理解】
品質においては「運用」より「製品実現」という表現が理解しやすいかもしれませんが、これも附属書SLによるものです。
6.1 6.2 6.3で計画した具体的な取組みを、8.1では製品及びサービスの提供のために必要なプロセスの中に組み込んだ上、製品及びサービスの提供のための計画を策定し、実施し、管理することが求められている。
2015年版では、変更に関する要求事項が追加されました。計画した変更(例:新規設備の導入)意図しない変更(例:ネットワークシステムの不具合)という言葉が使われています。これらはリスクを軽減することを目的としています。

環境運用管理の対象は、著しい環境側面に伴う運用だけでなく、6.1リスク及び機会の取組みで特定した取組みには、著しい環境側面順守義務リスク及び機会に対する運用管理が全て含まれる。
環境マネージメントシステムに必要なプロセスは、4.4項に説明があるようにプロセスの相互作用に基づいて構築されるが、環境マネージメントシステムを5.1e)事業プロセスへ統合することを実現するためには、現在、組織で運用されている「既存の事業プロセス」と同一となるのは当然です。

変更のマネジメントについては、6.1.2,7.4.1,8.1,9.2,9.3に規定されている。

外部委託した機能又はプロセスはマネジメントシステムの適用範囲内にあるが、外部の組織はマネジメントシステムの適用範囲の外にある。

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8.2  製品及びサービスに関する要求事項/緊急事態への準備及び対応

        ISO9001          

      ISO14001               

8.2 製品及びサービスに関する要求事項

8.2.1 顧客とのコミュニケーション

顧客とのコミュニケーションには、次の事項を含めなければならない。

a)製品及びサービスに関する情報の提供

b)引合い、契約又は注文の処理。これらの変更を含む。

c)苦情を含む、製品及びサービスに関する顧客からのフィードバックの取得

d)顧客の所有物の取扱い又は管理

e)関連する場合には、不測の事態への対応に関する特定の要求事項の確立

 

8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化

顧客に提供する製品及びサービスに関する要求事項を明確にするとき,組織は,次の事項を確実にしなければならない。

a)次の事項を含む、製品及びサービスの要求事項が定められている。

1)適用される法令・規制要求事項

2)組織が必要とみなすもの

b)組織が、提供する製品及びサービスに関して主張していることを満たすことができる。

 

8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー

8.2.3.1組織は、顧客に提供する製品及びサービスに関する要求事項を満たす能力をもつことを確実にしなければならない。組織は、製品及びサービスを顧客に提供することをコミットメントする前に、次の事項を含め、レビューを行わなければならない。

a)顧客が規定した要求事項。これには引渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項を含む。

b)顧客が明示してはいないが、指定された用途又は意図された用途が既知である場合、それらの用途に応じた要求事項

c)組織が規定した要求事項

d)製品及びサービスに適用される法令・規制要求事項

e)以前に提示されたものと異なる、契約又は注文の要求事項
組織は、契約又は注文の要求事項が以前に定めたものと異なる場合には、それが解決されていることを確実にしなければならない。

顧客がその要求事項を書面で示さない場合には、組織は,顧客要求事項を受諾する前に確認しなければならない。

注記 インターネット販売などの幾つかの状況では、注文ごとの正式なレビューは実用的ではない。

その代わりとして、レビューには、カタログなどの、関連する製品情報が含まれ得る。

 

8.2.3.2組織は、該当する場合には、必ず、次の事項に関する文書化した情報を保持しなければならない。

a)レビューの結果

b)製品及びサービスに関する新たな要求事項

 

8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
製品及びサービスに関する要求事項が変更されたときには、組織は、関連する文書化した情報を変更することを確実にしなければならない。また,変更後の要求事項が、関連する人々に理解されていることを確実にしなければならない。

8.2 緊急事態への準備及び対応

組織は,6.1.1 で特定した潜在的な緊急事態への準備及び対応のために必要なプロセスを確立し、実施し、維持しなければならない。

組織は、次の事項を行わなければならない。

a)緊急事態からの有害な環境影響を防止又は緩和するための処置を計画することによって、対応を準備する。

b)顕在した緊急事態に対応する。

c)緊急事態及びその潜在的な環境影響の大きさに応じて、緊急事態による結果を防止又は緩和するための処置をとる。

d)実行可能な場合には、計画した対応処置を定期的にテストする。

e)定期的に、また特に緊急事態の発生後又はテストの後には、プロセス及び計画した対応処置をレビューし、改訂する。

f)必要に応じて、緊急事態への準備及び対応についての関連する情報及び教育訓練を、組織の管理下で働く人々を含む関連する利害関係者に提供する。

組織は、プロセスが計画どおりに実施されるという確信をもつために必要な程度の、文書化した情報を維持しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【要求事項の理解】
8.2.1では、コミュニケーションに含む項目だけであるが、7.4にコミュニケーションの方法を決めると規定されている。また、コミュニケーションの対象として、顧客の所有物と不測の事態への対応が追加されている。
8.2.2は、顧客との具体的な交渉に入る前段階で、組織としてできること、提供する内容を決める段階の要求事項である。また、b)の主張は組織の主張である。
8.2.3は、具体的に交渉に入った段階で、製品及びサービスを顧客に提供することをコミットする前に、確実にレビューする必要がある項目と要求内容の変更について規定している。
8.2.4製品及びサービスに関する要求事項の変更は、変更があった場合は文書化した情報の変更と関係者にその内容を理解させるようにという要求です。設計変更などのレビューがなされなかったときの問題をテーマにしています。(6.3参照)

環境8.2緊急事態への準備及び対応は、環境固有の追加要求事項である。緊急事態については、緊急事態の決定までは6.1.1で要求されている。8.2では準備及び対応について規定されている。

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8.3 製品及びサービスの設計・開発

      ISO9001          

      ISO14001               

8.3.1 一般
組織は、以降の製品及びサービスの提供を確実にするために適切な設計・開発プロセスを確立し、実施し、維持しなければならない。

 
8.3.2 設計・開発の計画
設計・開発の段階及び管理を決定するに当たって、組織は、次の事項を考慮しなければならない。

a)設計・開発活動の性質、期間及び複雑さ

b)要求されるプロセス段階。これには適用される設計・開発のレビューを含む。

c)要求される、設計・開発の検証及び妥当性確認活動

d)設計・開発プロセスに関する責任及び権限

e)製品及びサービスの設計・開発のための内部資源及び外部資源の必要性

f)設計・開発プロセスに関与する人々の間のインタフェースの管理の必要性

g)設計・開発プロセスへの顧客及びユーザの参画の必要性

h)以降の製品及びサービスの提供に関する要求事項

i)顧客及びその他の密接に関連する利害関係者によって期待される、設計・開発プロセスの管理レベル

j)設計・開発の要求事項を満たしていることを実証するために必要な文書化した情報

 

8.3.3 設計・開発へのインプット
組織は、設計・開発する特定の種類の製品及びサービスに不可欠な要求事項を明確にしなければならない。組織は、次の事項を考慮しなければならない。

a)機能及びパフォーマンスに関する要求事項

b)以前の類似の設計・開発活動から得られた情報

c)法令・規制要求事項

d)組織が実施することをコミットメントしている、標準又は規範(codes of practice)

e)製品及びサービスの性質に起因する失敗により起こり得る結果

インプットは,設計・開発の目的に対して適切で、漏れがなく、曖昧でないものでなければならない。
設計・開発へのインプット間の相反は、解決しなければならない。
組織は、設計・開発へのインプットに関する文書化した情報を保持しなければならない。

 

8.3.4 設計・開発の管理

組織は、次の事項を確実にするために、設計・開発プロセスを管理しなければならない。

a)達成すべき結果を定める。

b)設計・開発の結果の,要求事項を満たす能力を評価するために、レビューを行う。

c)設計・開発からのアウトプットが、インプットの要求事項を満たすことを確実にするために,検証活動を行う。

d)結果として得られる製品及びサービスが、指定された用途又は意図された用途に応じた要求事項を満たすことを確実にするために、妥当性確認活動を行う。

e)レビュー、又は検証及び妥当性確認の活動中に明確になった問題に対して必要な処置をとる。

f)これらの活動についての文書化した情報を保持する。

注記 設計・開発のレビュー、検証及び妥当性確認は、異なる目的をもつ。これらは、組織の製品及びサービスに応じた適切な形で、個別に又は組み合わせて行うことができる。

 

8.3.5 設計・開発からのアウトプット
組織は、設計・開発からのアウトプットが、次のとおりであることを確実にしなければならない。

a)インプットで与えられた要求事項を満たす。

b)製品及びサービスの提供に関する以降のプロセスに対して適切である。

c)必要に応じて、監視及び測定の要求事項,並びに合否判定基準を含むか、又はそれらを参照している。

d)意図した目的並びに安全で適切な使用及び提供に不可欠な、製品及びサービスの特性を規定している。

組織は、設計・開発のアウトプットについて、文書化した情報を保持しなければならない。

 

8.3.6 設計・開発の変更
組織は、要求事項への適合に悪影響を及ぼさないことを確実にするために必要な程度まで,製品及びサービスの設計・開発の間又はそれ以降に行われた変更を識別し、レビューし、管理しなければならない。

組織は、次の事項に関する文書化した情報を保持しなければならない。

a)設計・開発の変更

b)レビューの結果

c)変更の許可

d)悪影響を防止するための処置

 

【要求事項の理解】
設計・開発はサービス業に配慮した構成になった。
8.3.1は、サービス業を初め、何が設計・開発なのかを明らかにする意図がある。
8.3.2は、組織の業種、規模などによっていろいろなレベルでの設計開発に対応する規格となっている。
8.3.3 a)~e)は、「含めなければならない」から、「考慮しなけれならない」へ変更されている。
8.3.4は、サービス業への配慮で、レビュー、検証及び妥当性確認が大幅に修正されたが、用語の定義は変わっておらず基本的には2008年版と同様の内容が要求されている。
8.3.5
は、アウトプットとインプットの対比及びリリースの承認がなくなった。
8.3.6
は、設計開発の間に行われた変更と設計開発実施後の変更が含まれる。

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8.4外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理

      ISO9001          

      ISO14001               

 8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理

8.4.1 一般
組織は、外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが、要求事項に適合していることを確実にしなければならない。

組織は、次の事項に該当する場合には、外部から提供されるプロセス、製品及びサービスに適用する管理を決定しなければならない。

a)外部提供者からの製品及びサービスが、組織自身の製品及びサービスに組み込むことを意図したものである場合

b)製品及びサービスが、組織に代わって、外部提供者から直接顧客に提供される場合

c)プロセス又はプロセスの一部が、組織の決定の結果として、外部提供者から提供される場合

組織は、要求事項に従ってプロセス又は製品・サービスを提供する外部提供者の能力に基づいて、外部提供者の評価、選択、パフォーマンスの監視、及び再評価を行うための基準を決定し、適用しなければならない。組織は、これらの活動及びその評価によって生じる必要な処置について、文書化した情報を保持しなければならない。

 

8.4.2 管理の方式及び程度
組織は、外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが、顧客に一貫して適合した製品及びサービスを引き渡す組織の能力に悪影響を及ぼさないことを確実にしなければならない。

組織は、次の事項を行わなければならない。

a)外部から提供されるプロセスを組織の品質マネジメントシステムの管理下にとどめることを,確実にする。

b)外部提供者に適用するための管理、及びそのアウトプットに適用するための管理の両方を定める。

c)次の事項を考慮に入れる。

1)外部から提供されるプロセス、製品及びサービスが、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を一貫して満たす組織の能力に与える潜在的な影響

2)外部提供者によって適用される管理の有効性

d)外部から提供されるプロセス、製品及びサービスが要求事項を満たすことを確実にするために必要な検証又はその他の活動を明確にする。

 

8.4.3 外部提供者に対する情報
組織は、外部提供者に伝達する前に、要求事項が妥当であることを確実にしなければならない。

組織は、次の事項に関する要求事項を、外部提供者に伝達しなければならない。

a)提供されるプロセス、製品及びサービス

b)次の事項についての承認

 1)製品及びサービス

 2)方法,プロセス及び設備

 3)製品及びサービスのリリース

c)人々の力量。これには必要な適格性を含む。

d)組織と外部提供者との相互作用

e)組織が適用する、外部提供者のパフォーマンスの管理及び監視

f)組織又はその顧客が外部提供者先での実施を意図している検証又は妥当性確認活動

 

 【要求事項の理解】
8.4.1供給者から外部提供者へ変更された。外部提供者は組織の一部ではない。その三つの形態は次のとおり、
①部品や材料などを購買する。
②組織に代わって外部委託先から直接顧客に提供される場合。
③設計など外部委託先から一旦組織に戻ってくる場合。
2008年度版の7.4購買に該当する要求事項です。2015年版では購買に加えて、外部委託したプロセスの管理も対象とした要求事項を規定することになった。
8.4.2「組織の品質マネジメントシステムの管理下にとどめる」とは、アウトソースしたプロセスに対する管理を確実にしたとしても、組織の責任が免除されるものではないということを意味している。
8.4.3外部委託したプロセスも8.4の管理対象である。

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8.5製造及びサービス提供

       ISO9001          

      ISO14001   

8.5 製造及びサービス提供

8.5.1 製造及びサービス提供の管理
組織は、製造及びサービス提供を、管理された状態で実行しなければならない。

管理された状態には、次の事項のうち、該当するものについては、必ず、含めなければならない。

a)次の事項を定めた文書化した情報を利用できるようにする。

1)製造する製品,提供するサービス,又は実施する活動の特性。

2)達成すべき結果

b)監視及び測定のための適切な資源を利用できるようにし、かつ、使用する。

c)プロセス又はアウトプットの管理基準、並びに製品及びサービスの合否判定基準を満たしていることを検証するために、適切な段階で監視及び測定活動を実施する。

d)プロセスの運用のための適切なインフラストラクチャ及び環境を使用する。

e)必要な適格性を含め、力量を備えた人々を任命する。

f)製造及びサービス提供のプロセスで結果として生じるアウトプットを、それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な場合には、製造及びサービス提供に関するプロセスの,計画した結果を達成する能力について、妥当性確認を行い、定期的に妥当性を再確認する。

g)ヒューマンエラーを防止するための処置を実施する。

h)リリース、顧客への引渡し及び引渡し後の活動を実施する。

8.5.2 識別及びトレーサビリティ
製品及びサービスの適合を確実にするために必要な場合、組織は,アウトプットを識別するために、適切な手段を用いなければならない。
組織は、製造及びサービス提供の全過程において、監視及び測定の要求事項に関連して、アウトプットの状態を識別しなければならない。

トレーサビリティが要求事項となっている場合には、組織は、アウトプットについて一意の識別を管理し、トレーサビリティを可能とするために必要な文書化した情報を保持しなければならない。

8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
組織は、顧客又は外部提供者の所有物について、それが組織の管理下にある間、又は組織がそれを使用している間は、注意を払わなければならない。
組織は、使用するため又は製品及びサービスに組み込むために提供された顧客又は外部提供者の所有物の識別、検証及び保護・防護を実施しなければならない。
顧客若しくは外部提供者の所有物を紛失若しくは損傷した場合,又はその他これらが使用に適さないと判明した場合には,組織は、その旨を顧客又は外部提供者に報告し、発生した事柄について文書化した情報を保持しなければならない。

注記
顧客又は外部提供者の所有物には、材料,部品,道具,設備,施設,知的財産,個人情報などが含まれ得る。

8.5.4 保存
組織は,製造及びサービス提供を行う間、要求事項への適合を確実にするために必要な程度に、アウトプット保存しなければならない。

注記
保存に関わる考慮事項には、識別,取扱い,汚染防止,包装,保管,伝送又は輸送,及び保護が含まれ得る。

8.5.5 引渡し後の活動
組織は、製品及びサービスに関連する引渡し後の活動に関する要求事項を満たさなければならない。要求される引渡し後の活動の程度を決定するに当たって、組織は、次の事項を考慮しなければならない。

a)法令・規制要求事項

b)製品及びサービスに関連して起こり得る望ましくない結果

c)製品及びサービスの性質、用途及び意図した耐用期間

d)顧客要求事項

e)顧客からのフィードバック

注記
引渡し後の活動には、補償条項(warranty provisions)、メンテナンスサービスのような契約義務、及びリサイクル又は最終廃棄のような付帯サービスの下での活動が含まれ得る。

8.5.6 変更の管理
組織は製造又はサービス提供に関する変更を、要求事項への継続的な適合を確実にするために必要な程度まで、レビューし管理しなければならない。組織は変更のレビューの結果、変更を正式に許可した人(又は人々)及びレビューから生じた必要な処置を記載した文書化した情報を保持しなければならない。

 

【要求事項の理解】

8.5.4では製品及びサービスが対象であったが、サービスは保存できないので表題は保存だけになった。
8.5.6は製造又はサービス提供に変更があっても引き続き要求事項を満足するように管理することを意図しています。変更の引き金としては、「顧客の要望」「不具合発生時の対策」「原価低減案」などがあります。9001の変更には、6.3変更の計画、8.1運用の計画及び管理、8.3.6設計・開発の変更、8.5.6変更の管理があります。4.4、5.3、9.2、9.3、10.2にも変更が含まれる。

8.5は「製造及びサービス提供プロセス」に対する要求事項です。従って、8.5.6の変更は製造及びサービスに係わる変更ということになります。その中心となるのは4M(人・機械・材料・方法)の変更と言うことになります。また、8.5.6の変更は意図しない変更だけでなく、計画された変更も含まれる。つまり、想定外、想定内に係わらずすべての変更が対象となる。

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8.6製品及びサービスにリリース

      ISO9001          

      ISO14001               

8.6 製品及びサービスのリリース
組織は,製品及びサービスの要求事項を満たしていることを検証するために,適切な段階において,計画した取決めを実施しなければならない。

計画した取決めが問題なく完了するまでは,顧客への製品及びサービスのリリースを行ってはならない。
ただし,当該の権限をもつ者が承認し,かつ,顧客が承認したとき(該当する場合には,必ず)は,この限りではない。

組織は,製品及びサービスのリリースについて文書化した情報を保持しなければならない。これには,次の事項を含まなければならない。

a)合否判定基準への適合の証拠

b)リリースを正式に許可した人(又は人々)に対するトレーサビリティ

 

【要求事項の理解】
a)「合否判定基準への適合の証拠」の文書化が要求されていますが、文書化した情報の定義は、組織が管理し、維持するよう要求されている情報であるので、情報を維持する方法は色々考えられる。
b)工場のオートメーション化など、リリースに人が関わっていない場合もあることより、リリースした時に誰が責任者であったかをトレースできれば良いとなった。

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8.7不適合なアウトプットの管理

      ISO9001          

      ISO14001               

8.7 不適合なアウトプットの管理

8.7.1組織は,要求事項に適合しないアウトプットが誤って使用されること又は引き渡されることを防ぐために,それらを識別し,管理することを確実にしなければならない。

組織は,不適合の性質,並びにそれが製品及びサービスの適合に与える影響に基づいて,適切な処置をとらなければならない。これは,製品の引渡し後,サービスの提供中又は提供後に検出された,不適合な製品及びサービスにも適用されなければならない。

組織は,次の一つ以上の方法で,不適合なアウトプットを処理しなければならない。

a)修正

b)製品及びサービスの分離,散逸防止,返却又は提供停止

c)顧客への通知

d)特別採用による受入の正式な許可の取得

不適合なアウトプットに修正を施したときには,要求事項への適合を検証しなければならない。

8.7.2組織は,次の事項を満たす文書化した情報を保持しなければならない。

a)不適合が記載されている。

b)とった処置が記載されている。

c)取得した特別採用が記載されている。

d)不適合に関する処置について決定する権限をもつ者を特定している。

 

【要求事項の理解】
8.7.1基本的には2008年度版の要求事項と変化ない。サービス業は、その提供がすぐに顧客への提供になるという特性がある。このような特性に配慮された項目がb)c)である。

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9.パフォーマンス評価

9.1 監視,測定,分析及び評価

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9.1 監視,測定,分析及び評価

9.1.1 一般
組織は,次の事項を決定しなければならない。

a)監視及び測定が必要な対象

b)妥当な結果を確実にするために必要な,監視,測定,分析及び評価の方法

c)監視及び測定の実施時期

d)監視及び測定の結果の,分析及び評価の時期

組織は,品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性を評価しなければならない。

組織は,この結果の証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。

 

9.1.2 顧客満足

組織は,顧客のニーズ及び期待が満たされている程度について,顧客がどのように受け止めているかを監視しなければならない。組織は,この情報の入手,監視及びレビューの方法を決定しなければならない。

注記 顧客の受け止め方の監視には,例えば,顧客調査,提供した製品及びサービスに関する顧客からのフィードバック,顧客との会合,市場シェアの分析,顧客からの賛辞,補償請求及びディーラ報告が含まれ得る。

 

9.1.3 分析及び評価

組織は,監視及び測定からの適切なデータ及び情報を分析し,評価しなければならない。

分析の結果は,次の事項を評価するために用いなければならない。

a)製品及びサービスの適合

b)顧客満足度

c)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性

d)計画が効果的に実施されたかどうか

e)リスク及び機会への取組みの有効性

f)外部提供者のパフォーマンス

g)品質マネジメントシステムの改善の必要性

注記 データを分析する方法には,統計的手法が含まれ得る。

9.1 監視,測定,分析及び評価

9.1.1 一般
組織は,環境パフォーマンスを監視し,測定し,分析し,評価しなければならない。

組織は,次の事項を決定しなければならない。

a)監視及び測定が必要な対象

b)該当する場合には,必ず,妥当な結果を確実にするための,監視,測定,分析及び評価の方法

c)組織が環境パフォーマンスを評価するための基準及び適切な指標

d)監視及び測定の実施時期

e)監視及び測定の結果の,分析及び評価の時期

組織は,必要に応じて,校正された又は検証された監視機器及び測定機器が使用され,維持されていることを確実にしなければならない。

9.1.2 順守評価
組織は,順守義務を満たしていることを評価するために必要なプロセスを確立し,実施し,維持しなければならない。

組織は,次の事項を行わなければならない。

a)順守を評価する頻度を決定する。

b)順守を評価し,必要な場合には,処置をとる。

c)順守状況に関する知識及び理解を維持する。

組織は,順守評価の結果の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【要求事項の理解】
品質においては4.4.1c)g)、8.1b)d)、でプロセスの監視及び測定を既に求めているため、監視測定については9.1.1一般で広く対応している。
9.1.1 品質マネジメントシステムのパフォーマンスとは、品質マネジメントシステムの結果である「パフォーマンス」に加えて、その過程の達成度を示す「有効性」についても評価が必要となる。
9.1.3では、パフォーマンスの評価は7項目で実施するよう求められている。

環境9.1.1においても同様で、監視、測定、分析及び評価とは監視測定の結果を分析、評価して有効性を含めた適切な運用管理がなされているかを確認して問題があれば是正・改善につなげることを要求している。しかし、全ての環境パフォーマンスの監視又は測定を求めているわけではなく、著しい環境側面順守義務及び運用管理を考慮に入れると規定されている。
評価基準は、環境目標に対して指標の「基準年における値」などが評価基準になり得る。
環境の9.1.2 順守評価は、その手順ではなく「プロセス」が要求されています。
b)の必要な場合とは、順守義務が守られていないことが検出された時の是正処置を求めている。
c)順守義務評価者が、組織の順守義務とその組織への適用に関する具体的な内容について最新の知識を持った人が評価することを要求している。そのためには、順守評価プロセスを明確に規定すること。

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9.2 内部監査

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9.2 内部監査

9.2.1組織は、品質マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供するために、あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。

a)次の事項に適合している。

1)品質マネジメントシステムに関して,組織自体が規定した要求事項

2)この規格の要求事項

b)有効に実施され、維持されている。


9.2.2
組織は、次に示す事項を行わなければならない。

a)頻度、方法、責任、計画要求事項及び報告を含む、監査プログラムの計画、確立、実施及び維持。監査プログラムは、関連するプロセスの重要性、組織に影響を及ぼす変更、び前回までの監査の結果を考慮に入れなければならない。

b)各監査について、監査基準及び監査範囲を定める。

c)監査プロセスの客観性及び公平性を確保するために、監査員を選定し、監査を実施する。

d)監査の結果を関連する管理層に報告することを確実にする。

e)遅滞なく、適切な修正を行い、是正処置をとる。

f)監査プログラムの実施及び監査結果の証拠として、文書化した情報を保持する。

注記 手引として JIS Q 19011 を参照。

 

9.2 内部監査

9.2.1 一般
組織は、環境マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供するために、あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。

a)次の事項に適合している。

1)環境マネジメントシステムに関して、組織自体が規定した要求事項

2)この規格の要求事項

b)有効に実施され、維持されている。


9.2.2 内部監査プログラム

組織は、内部監査の頻度、方法、責任、計画要求事項及び報告を含む、内部監査プログラムを確立し、実施し、維持しなければならない。

内部監査プログラムを確立するとき、組織は、関連するプロセスの環境上の重要性、組織に影響を及ぼす変更及び前回までの監査の結果を考慮に入れなければならない。

組織は、次の事項を行わなければならない。

a)各監査について,監査基準及び監査範囲を明確にする。

b)監査プロセスの客観性及び公平性を確保するために、監査員を選定し、監査を実施する。

c)監査の結果を関連する管理層に報告することを確実にする。

組織は、監査プログラムの実施及び監査結果の証拠として、文書化した情報を保持しなければならない。

【要求事項の理解】
品質の9.2.1b)
有効に実施され維持されている。とは、品質マネジメントシステムが有効に実施され維持されているかということです。
9.2.2a)組織に影響を及ぼす変更の例として、内部・外部の資源の変更、顧客・利害関係者のニーズ・期待の変化などがあると説明されています。

環境においても同様に、9.2.2内部監査プログラムを計画するときの考慮事項として、「組織に影響を及ぼす変更」が追加されています。

[監査の論理]   

1)同一の論理・・・監査基準と監査証拠を照合して、その整合性を判断する。

2)上位価値の論理・・・ルールとして決めている上位目的に照らして有効性を判断する。

3)効率性の論理・・・実施されていることがシステムの運用上効率的であるか判断する。

(4)因果関係と必要十分の条件の論理・・原因究明に必要十分条件の概念で論理的に展開する。

5)全体部分の論理・・抽象的な言葉(全体)は類似事象(部分)の集合の度合いにより判断する。

6)論点を外さない・・・審査現場で論理的な主張をする時の大原則である。

(7)飛躍しない・・・論理の手順を踏んで説得力のある話をすること。

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9.3  マネジメントレビュー 

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9.3 マネジメントレビュー

9.3.1 一般
トップマネジメントは、組織の品質マネジメントシステムが、引き続き、適切、妥当かつ有効で更に組織の戦略的な方向性と一致していることを確実にするために、あらかじめ定めた間隔で、品質マネジメントシステムをレビューしなければならない。


9.3.2 マネジメントレビューへのインプット
マネジメントレビューは、次の事項を考慮して計画し、実施しなければならない。

a)前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況

b)品質マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題の変化

c)次に示す傾向を含めた、品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に関する情報

1)顧客満足及び密接に関連する利害関係者からのフィードバック

2)品質目標が満たされている程度

3)プロセスのパフォーマンス,並びに製品及びサービスの適合

4)不適合及び是正処置

5)監視及び測定の結果

6)監査結果

7)外部提供者のパフォーマンス

d)資源の妥当性

e)リスク及び機会への取組みの有効性(6.1 参照)

f)改善の機会


9.3.3 マネジメントレビューからのアウトプット

マネジメントレビューからのアウトプットには、次の事項に関する決定及び処置を含めなければならない。

a)改善の機会

b)品質マネジメントシステムのあらゆる変更の必要性 

c)資源の必要性

組織は、マネジメントレビューの結果の証拠として、文書化した情報を保持しなければならない。

9.3 マネジメントレビュー
トップマネジメントは、組織の環境マネジメントシステムが、引き続き、適切、妥当かつ有効であることを確実にするために、あらかじめ定めた間隔で、環境マネジメントシステムをレビューしなければならない。

マネジメントレビューは、次の事項を考慮しなければならない。

a)前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況

b)次の事項の変化

1)環境マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題

2)順守義務を含む,利害関係者のニーズ及び期待

3)著しい環境側面

4)リスク及び機会

c)環境目標が達成された程度

d)次に示す傾向を含めた、組織の環境パフォーマンスに関する情報

1)不適合及び是正処置

2)監視及び測定の結果

3)順守義務を満たすこと

4)監査結果

e)資源の妥当性

f)苦情を含む、利害関係者からの関連するコミュニケーション

g)継続的改善の機会

マネジメントレビューからのアウトプットには、次の事項を含めなければならない。

− 環境マネジメントシステムが、引き続き、適切、妥当かつ有効であることに関する結論

− 継続的改善の機会に関する決定

− 資源を含む、環境マネジメントシステムの変更の必要性に関する決定

− 必要な場合には、環境目標が達成されていない場合の処置

− 必要な場合には、他の事業プロセスへの環境マネジメントシステムの統合を改善するための機会

− 組織の戦略的な方向性に関する示唆

組織は、マネジメントレビューの結果の証拠として、文書化した情報を保持しなければならない。

【要求事項の理解】
マネジメントレビュー高いレベル(経営層)のものであることが望ましく、詳細な情報に基づく徹底したレビューは必要ない。
品質においては、「更に組織の戦略的な方向性と一致している」が追加されています。
環境マネジメントレビューの目的である「環境マネジメントシステムが引き続き適切、妥当かつ有効であることを確実にする」とはどういうことかということを理解しておく必要があります。
適切性:組織並びに組織の運用、文化及び事業システムにどのように合っているか
妥当性:規格要求事項を満たし、十分なレベルで実施されているか
有効性:望ましい結果を達成しているかどうか

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10.改善
10.1一般

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10.1 一般
組織は、顧客要求事項を満たし、顧客満足を向上させるために、改善の機会を明確にし、選択しなければならず、また、必要な取組みを実施しなければならない。これには、次の事項を含めなければならない。

a)要求事項を満たすため、並びに将来のニーズ及び期待に取り組むための、製品及びサービスの改善

b)望ましくない影響の修正、防止又は低減

c)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性の改善

注記  改善には、例えば、修正,是正処置,継続的改善,現状を打破する変更,革新及び組織再編が含まれ得る。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10.1 一般

組織は、環境マネジメントシステムの意図した成果を達成するために、改善の機会9.19.2 及び 9.3参照)を決定し、必要な取組みを実施しなければならない。

10.2 不適合及び是正処置

不適合が発生した場合、組織は、次の事項を行わなければならない。

a)その不適合に対処し、該当する場合には、必ず、次の事項を行う。

1)その不適合を管理し、修正するための処置をとる。

2)有害な環境影響の緩和を含め、その不適合によって起こった結果に対処する。

b)その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため、次の事項によって、その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する。

1)その不適合をレビューする。

2)その不適合の原因を明確にする。

3)類似の不適合の有無、又はそれが発生する可能性を明確にする。

c)必要な処置を実施する。

d)とった是正処置の有効性をレビューする。

e)必要な場合には,環境マネジメントシステムの変更を行う。

是正処置は,環境影響も含め,検出された不適合のもつ影響の著しさに応じたものでなければならない。

組織は,次に示す事項の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。

− 不適合の性質及びそれに対してとった処置

【要求事項の理解】
品質改善活動は、「顧客要求事項を満たす」と「顧客満足を向上させる」の二つの目的がある。
品質改善には、次の三つ、「製品及びサービスの改善」、「望ましくない結果を未然に防止するための改善」、「9.3.2マネジメントレビューへのインプットc)の1)~7)に関するパフォーマンス及び有効性の改善」を要求しています。また、注記には、革新は求められていないが、革新につながるような改善活動を期待していることを書いてあります。

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10.2 不適合及び是正処置

      ISO9001          

       ISO14001

10.2 不適合及び是正処置

10.2.1苦情から生じたものを含め,不適合が発生した場合、組織は、次の事項を行わなければならない。

a)その不適合に対処し、該当する場合には、必ず、次の事項を行う。

1)その不適合を管理し、修正するための処置をとる。

2)その不適合によって起こった結果に対処する。

b)その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため、次の事項によって、その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する。

1)その不適合をレビューし、分析する。

2)その不適合の原因を明確にする。

3)類似の不適合の有無,又はそれが発生する可能性を明確にする。

c)必要な処置を実施する。

d)とった全ての是正処置の有効性をレビューする。

e)必要な場合には、計画の策定段階で決定したリスク及び機会を更新する。

f)必要な場合には、品質マネジメントシステムの変更を行う。

是正処置は、検出された不適合のもつ影響に応じたものでなければならない。

10.2.2組織は、次に示す事項の証拠として、文書化した情報を保持しなければならない。

a)不適合の性質及びそれに対してとったあらゆる処置

b)是正処置の結果

10.2不適合及び是正処置

不適合が発生した場合、組織は、次の事項を行わなければならない。

a)その不適合に対処し、該当する場合には、必ず、次の事項を行う。

1)その不適合を管理し、修正するための処置をとる。

2)有害な環境影響の緩和を含め、その不適合によって起こった結果に対処する。

b)その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため、次の事項によって、その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する。

1)その不適合をレビューする。

2)その不適合の原因を明確にする。

3)類似の不適合の有無、又はそれが発生する可能性を明確にする。

c)必要な処置を実施する。

d)とった是正処置の有効性をレビューする。

e)必要な場合には、環境マネジメントシステムの変更を行う。

是正処置は、環境影響も含め、検出された不適合のもつ影響の著しさに応じたものでなければならない。

組織は、次に示す事項の証拠として、文書化した情報を保持しなければならない。

− 不適合の性質及びそれに対してとった処置

 

 



【要求事項の理解】
製品及びサービスについては8.7不適合なアウトプットの管理で対応しますが、10.2ではその他のすべての不適合を対象としています。但し、是正処置については、品質マネジメントシステムのすべてが対象となるので、製品及びサービスの是正処置も含まれている。
対応・・・起こってから状況に応じて改善や処置を進める
対処・・・起こってからその物事や変化に応じて適切に手を打つ、処置すること
修正・・・検出された不適合を除去するためにとる応急処置
対策・・・起こる前に、状況に応じて施す処置のこと
是正処置・・・不適合の原因を除去し、再発を防止するための処置
予防処置・・・不適合が発生する可能性を排除するために事前に対策する

10.2.1b)3)にあるように、類似の不適合つまり水平展開については、是正処置の一環であると説明されている。
10.2.1d)有効性のレビューには、内部監査で実施されたフォロアップで行われる「とられた処置の検証」も含まれる。
10.2.1e)6.1リスク及び機会への取組みで決定したリスクと機会について必要な更新が求められている。これは、不適合の発生で新たなリスクに気付いたり有効性の確認でリスクが軽減されたなどが考えられる。

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10.3 継続的改善 

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10.3 継続的改善

組織は、品質マネジメントシステムの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない。

組織は、継続的改善の一環として取り組まなければならない必要性又は機会があるかどうかを明確にするために、分析及び評価の結果並びにマネジメントレビューからのアウトプットを検討しなければならない。

10.3 継続的改善

組織は、環境パフォーマンスを向上させるために、環境マネジメントシステムの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない。

 

 

 

 

【要求事項の理解】
環境
においては”継続的改善”の定義が大きく変わりました。2004年度版では一般要求事項としてありましたが、対象は”環境マネジメントシステム”であり、2015年版の”環境パフォーマンス”ではありませんでした。
有効性とは計画した結果を達成した程度ですから、有効性の継続的改善とは、環境マネジメントシステムの継続的改善ではなく、システムの結果である環境パフォーマンスを継続的に改善するということになります。

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現場力を高める5S活動

5S活動は、製造業を中心に実施されてきました。さらに、医療関係でも5S活動が盛んに実施されています。最近はサービス業でも5S活動に取り組む会社が増えてきています。サービス業の中では小売業や宿泊業界でも積極的に実施されています。しかし、5S活動は当たり前のこと、良いことであることは分かっているが利益につながらないとして長続きしていない会社が数多く存在します。
5S活動に何回もトライしているが一年も経つと元の状態に戻ってしまう。皆の協力が得にくい。業務の都合上、職場の仲間が一同に集まりミーティングすることができないなど、5S活動がうまく進まないのはその職場の現場力に影響します。なぜなら、現場力のある職場は本来業務の遂行能力も十分であると同時に5S活動も続けられるからです。

現場力とは何か

職場の仲間が一丸となって立ち向かうということは仕事を優位に進めるために以前から叫ばれてきましたが、情報化社会の今日ではそれが更に強く要求さています。そのような現代の社会において、仕事を計画通りに実行し成果を上げるためには強いチームを作る必要があります。強いチームのいる職場の現場力は当然強いのです。
現場力とは仕事の現場における「組織として構成された人材の力量」、一言で表現するならば「現場で働く人の力量」であるという説明があります。つまり、それぞれの現場において問題を発見し、解決する能力を維持できている職場ということができます。現場力に関する説明をまとめると、現場力を高めるための具体的な能力とは次の三項目です。

行動力:職場で発生する様々な問題を自ら解決する力
改善力:職場の一部の社員だけではなく、全員が知恵を出し合ってより良くする組織の能力
継続力:現状に満足せず、高い目標を持って推進する力

この説明がもっとも分かりやすい説明であり、感覚的にも納得できるものです。このことから、5S活動そのものが現場の環境改善ですから現場力のあるところは、5Sもできているということがいえます。

 下図は5S活動チームの5段階評価と現場力の関係を示しています。5S活動のレベルが上がるに連れて現場力が変化し、5S活動を継続できるレベルに向上することを表わしています。




下記に5段階のレベルについて説明しますが、ここでは「5S活動を続けられる現場力」がテーマですので、レベル3からレベル4,レベル5へ向上するための現場力を対象にしています。

<レベル5>
5Sの習慣化が実現し、清潔な環境が完全に定着しているレベルですので、「5Sチーム力強化訓練」を年1~2回実施することにより、5S活動を継続的に実施することができるレベルです。

<レベル4は>
 食品関連においては5Sが継続的に実施され定着し、清潔な環境が維持されている。更に、不要品が発生しない工夫、ムダをなくす工夫、衛生害虫やゴミの発生源対策、危険の察知される工程の予防保全の手順書の作成やルールを守るための改善を、ノンテクニカルスキルを意識しながら取り組み、ムリ・ムダ・ムラを排除できるレベルです。

<レベル3>
マニュアルや職場のルールが全員に周知され、正しく実行されている職場です。つまり、見える化されていますので、異常の発生や問題点を明らかにして5S改善を進めているレベルです。事例を元にノンテクニカルスキルの要素を理解します。

<レベル2>
仕組みはあるがその仕組みやルールが守られていないなど不十分な点があるレベルです。現場力の向上が急がれます。

<レベル1>
掃除は行き届いていますが管理された状態ではありませんので、5Sについて理解が不十分であるなど、職場に多くの問題が内在している可能性があります。


現場力を支えるチームワーク

 会社の多くの部門、営業所や店舗の中で、5S活動が定着しているところは、本業の成績も良いのです。つまり現場力のある会社では5S活動が定着し成果をあげているということです。「1.3で5S活動に不可欠なこと」として示した「全員参加」や「自発的行動」は、チームワークの必須要件です。

 CRMとはCrew Resource Managementの略で、航空会社で実施されているCRM訓練は、航空機事故をヒューマンファクターズの視点から分析して1980年代の初めに完成したとされています。問題発生前に問題に対処する訓練を行い問題の要因の発生を防ぐことを目的とする活動であり、活用できる全てのリソースを利用して「チーム力」を発揮するための訓練であると説明があります。全ての危険を前もって予知し訓練することは、航空界だけでなく医療界や化学工業など他の産業界でもそのリスクに応じた取り組みがなされています。航空界におけるCRMはノンテクニカルスキルの向上を目指した訓練ですが、これと同じように5SチームにおいてもCRMと同じ考え方に基づいて訓練することによりノンテクニカルスキルの向上が期待できます。なぜなら、レベルの差はありますが、必要とするチーム機能は共通するからです。
「人間の行動は、個人の性格と意識の影響を受けるが、性格は長い時間かけて形成されるもので簡単には変えることができないので、意識を変革する」というCRMの基本的なコンセプトの説明が紹介してありました。この説明は、5S活動が定着して効果をあげている会社の成功事例の中でよく言われる「意識改革」と共通するものです。


現場力向上にはノンテクニカルスキルが必要

 5Sという言葉が使われはじめてから半世紀を過ぎた現在でも、多くの会社では「現場の基本は5Sである」「会社の基盤である」として取り組まれています。しかし、その実態は大半が期待通りの効果がでていない、なかなか定着しない等の問題をかかえているといわれています。実際、現場で5S活動が継続しなかった理由として、「5S活動推進が宣言されたが、すぐ衰退し、5S活動はなくなった」「5S活動に参加したが、忙しいだけで効果がなかった」など継続できなかった声が聞かれます。5S活動が続かないということは、その進め方に問題はないのか、急速に変化している職場環境に対応できているのかについて話し合い、現場力を強化するための5S改善に積極的に取り組みましょう。

5S活動は一般的に、職場単位の少人数のチームで行われています。そのチームパフォーマンスを向上させるためには、行動力、改善力、継続力の現場力が必要です。この現場力を高める最も基礎となる取組みのひとつが「5S活動」ですが、その考え方は「5Sを使う」です。
5S活動を積極的に推進している工場や店舗は、品質向上や衛生向上についても顕著な成果をだしています。

このように、5S活動の原点は現場にあります。図に示すようにノンテクニカルスキルを向上させる5S改善の推進により、あるべき姿に近づけるための行動を支えパフォーマンスの向上につなげます。